脳科学者の茂木健一郎氏が25日、「X」(旧ツイッター)を更新。2017年に兵庫県神戸市で起きた5人殺傷事件の控訴審で被告が無罪となったことに言及した。
被告は祖父母と近隣住民3人を殺害し、母親ら2人に重症を負わせて殺人などの罪に問われていた。一審で無罪となっており、同日に開かれた控訴審も心神喪失の疑いがあるとした一審判決を支持し、検察側の控訴を棄却した。
茂木氏は「『心神喪失』とか、『心神耗弱』とかいった概念が日本の刑事司法の中に『化石』のように残っていて、それが判例の積み重ねである程度の法的安定性として機能しているのはわかるけど、脳科学、認知科学の現代的水準から言えばその根拠は脆弱だし、このような件での『医師』による『精神鑑定』の正確さもはななだ疑わしい」と疑問を呈した。
続けて、「その結果、このような事件に対する判決が、世間の常識からずれていることは残念なことです。私はいわゆる『厳罰化』を支持する立場ではありません。ただ、刑事司法の概念、実定法の大幅な現代化は避けられないと考えています」と表明した。