“女芸人マニア”として知られているお笑いコンビ「馬鹿よ貴方は」の新道竜巳が、これから“馬鹿売れ”しそうな女芸人を紹介するこの連載。今回は、今年の漫才日本一決定戦「M―1グランプリ」で最も注目を集めている、まだ小学生の女性コンビを紹介する――。
1回戦がすでに始まっている今年のM―1の出場者で、間違いなく“最大の注目株”と言えるコンビです。
【プロフィル】
コンビ名‥ラブリースマイリーベイビー
結成‥2023年7月9日
立ち位置左‥ほのの
生年月日‥2012年12月7日
立ち位置右‥あいり
生年月日‥2011年9月11日
M―1の公式ユーチューブでは、1回戦各開催日ごとの上位3組と、アマチュアの中で一番良かったコンビが選ばれるナイスアマチュア賞のネタ動画が配信されます。その中で、再生数が15万回を超えている日が3日間あります。ちなみに私のコンビ「馬鹿よ貴方は」が1位になった8月14日も、ありがたいことに16万回再生を達成しています。
ただそんなことがかすんでしまうほどすごいのが小学5年生と6年生の女性コンビ・ラブリースマイリーベイビーのお2人です。われわれと同じ8月14日に出場してナイスアマチュア賞を受賞したのですが、ネタ動画はなんと63万回という、驚異の再生数を記録しています。(9月7日現在。再生数はまだまだ伸びそうです…)
とにかく当日は笑いの量がすごかった。それを小学生が起こしている。とんでもない期待の新人現る、と言えるでしょう。実はナイスアマチュア賞に選ばれても、1回戦で敗退してしまうことがほとんどなんですが、ラブリースマイリーベイビーはナイスアマチュア賞に加え、見事1回戦を勝ち上がり2回戦に進出しています。
過去には07年に、当時7歳と9歳だった「まえだまえだ」が準決勝まで勝ち進んだことがありますが、昔に比べて今の方が勝ち上がるのが圧倒的に難しくなっています。そんな中で勝ち上がったラブリースマイリーベイビーはホントにすごいと思います。
ネタ動画を見ていただければ分かると思いますが、とにかく舞台度胸が素晴らしい。たとえ芸歴10年を超えていてもM―1の舞台では震えてしまい、いつものようにしゃべれないコンビも多い。それなのにこのコンビは、お客さんに緊張を一つも与えることなくネタを運んでいった。表現者としての才能が高いのだと思います。
肩に一切力が入っておらず、雑談をしながら何げなくセンターマイクを自分の高さに調節する姿は、往年の夢路いとし・喜味こいしを思わせる技術です。特にすごいのが、ところどころセリフを間違えても心配させないところ。なんでこんなに舞台度胸があるのか、不思議になってしまいます。
ミスしても難なくやり直し、漫才を崩さないで笑いを起こす技術は、08年のオードリーを思い起こさせます。決勝でかんでしまった春日俊彰さんに、若林正恭さんが「かんでんじゃねーよ!」とサッとツッコんだ後、緊張感がよぎるどころかむしろ面白く見えた。あれに近い技術です。
何が起こるかわからない空間でミスを味方にできる人は本当に少ないと思います。それを結成して間もない、子供のコンビができるのは才能としか言いようがありません。
ほののさんは、お父さんとのコンビ「デザインぱ」としても、M―1に3年連続で出場しています。初めて出場した21年には、こちらのコンビでもナイスアマチュア賞を受賞しています。
先ほど書いたように、今年の1回戦では馬鹿よ貴方はとラブリースマイリーベイビーが同じ日で、出番も近かったので、僕に丁寧にあいさつしてくれて、僕のユーチューブチャンネル「新道竜巳のごみラジオ」を見ていると話してくれました。
僕が「今日のネタは何回ぐらいライブでかけたんですか?」と聞くと、「1週間前ぐらいに1度、ライブに出る機会があったのでそこでやりました」との回答。さらに「感触はどうでしたか?」と聞くと「いい感じでした」と言ってました。
ナイスアマチュア賞のうえ1回戦突破という快挙を成し遂げたラブリースマイリーベイビー。今後、注目しないわけにはいかないでしょう。
☆しんどう・たつみ 1977年4月15日生まれ、千葉県出身、本名・濱島英治郎。平井“ファラオ”光と組む「馬鹿よ貴方は」として「THE MANZAI」「M―1グランプリ」で決勝進出を果たした実力派。緻密なネタ作りに定評がある一方、女芸人ナンバーワン決定戦「THE W」では、予選会場に足しげく通い、ほとんどの出場者のネタを見るほどの“女芸人マニア”。












