2023年のSG戦線がいよいよ幕を開ける。ボートレース平和島のSG「第58回ボートレースクラシック」が16日に開幕。昨年は遠藤エミが女子レーサー初となるSG制覇を達成し、ボートレース70年の歴史を動かした。〝潮目″が大きく変わろうとしている艇界に「天才」と呼ばれた男が〝参戦〟する。元ジョッキーの田原成貴氏(64)だ。本紙の競馬予想ではすっかりおなじみだが、実はボートレースへの思い入れも相当なモノ。今大会のドリーム戦メンバーを見た瞬間、その思いが噴出した。
【田原成貴氏が熱く語る】今大会の初日ドリーム戦メンバーを見たオレは、思わず「ついに来たか、こんな日が…」とつぶやいてしまった。
ボートレースファン歴45年。クラシックが「鳳凰賞」と呼ばれていたころからボートを愛し、舟券に興じてきた。子供時分は祖父に連れられて故郷から近い宮島ボートによく行ったが、騎手になって滋賀県に住むようになると、オレの地元プールはもっぱら「ボートレースびわこ」。自然と京都・滋賀が拠点のレーサー、いわゆる〝京滋〟(滋賀支部)を応援するようになった。
だが、滋賀支部はお世辞にも強いと言えなかった。ビッグレースでは準優が精いっぱい、優出したらシャンパンで乾杯…といった感じだ。近畿地区選手権ではいつも強豪・大阪支部勢に牛耳られ、地元ファンとして歯がゆい気持ちを抱えてきた。オレはびわこボートの水面を眺めながら「うねりがある水面でテクニックが磨かれるはずなのに…」「なぜ、この地からスターが誕生しないのか?」などと考えを巡らせたものだ。
ここ10年でようやくSGウイナー・守田俊介が誕生し、少しずつ支部に活気が出てきた。「自分たちもやればできる!」。そんな思いが若手に伝わったのだろうか。今回、ドリーム戦の1号艇に構えるのは日本レコード保持者の〝最速男〟馬場貴也、6号艇は昨年のクラシックで女子史上初のSG制覇を果たした遠藤エミ。積年の思いがあるからこそ、滋賀支部が2人も名を連ねるドリーム戦は実に感慨深い。
ここはどうしても舟券を的中させたい。オレにとって45年越しのメモリアルなレースだから、いつにも増して厚めに買うことにしよう。もちろん狙うのは〝滋賀ワンツー〟だ。今回の舞台は東の聖地・ボートレース平和島。インが弱いとは言え、1着率は40%を超える。スピード自慢の馬場がインに入れば怖いものはない。強敵・池田浩二(愛知)のまくり差しをきっちり封じ、逃げ切るに違いない。
そして、大外から1Mを切り裂くのが遠藤だ。昨年末のグランプリを思い出してほしい。トライアル1st1回戦(11R)、遠藤はボート界屈指のターンスピードを持つトップレーサー毒島誠(群馬)を相手に壮絶な3着争いを演じ、最後は旋回力でねじ伏せた。オレは「マジかよ…」と声をあげてしまった。ボート界の歴史を変えた彼女は、もはや男子トップ級と互角に渡り合える。ここも俊敏なターンで間隙を突き、連対するとみた。
余談になるが、ボートレース平和島は現役騎手時代に東京遠征の際によく足を運んだ。ある時は札幌から飛行機で羽田空港へ行き、平和島の記者席で観戦させてもらった。実に上品なレース場だと感心したものだ。その光景は昨日のことのように覚えている。あれから月日が経過し、そんな思い出深い聖地で滋賀支部が躍動するなんて、これ以上うれしいことはない。
オレはこの日をずっと待っていたんだ。馬場よ、遠藤よ。オレの思いを乗せ、ぜひ滋賀ワンツー発進を決めてくれ!












