「お前なんて俺の寄生虫だ」
「同じ服でいいだろ、誰も見ていないよ」
「なにもできない無能なゴミ人間め」
書くのも憚られるような文言を浴びせ、妻を精神的に虐待するモラハラ夫が社会問題になっている。
取り扱った離婚事例は2000件超、離婚問題に詳しく、「ホンマでっか!?TV」(フジテレビ系)などテレビ出演も多い堀井亜生弁護士がこのたび「モラハラ夫と食洗機」(小学館)を刊行し、取材に応じた。
「モラハラ夫は『ケチ』なんです。相談に来られた女性に家計簿を見せてもらうと普通の人ならびっくりすると思いますよ。ディズニーランドや遊園地がないことは当たり前。それどころかサイゼリヤやスシローといったチェーン店での外食もさせてもらえないんです。娯楽費や交際費が空欄なんていうこともザラです」
家族旅行に出掛けるのが何よりも苦痛だったと振り返った相談者もいたという。
「ホテルに泊まるのはもったいないから車中泊だった人もいました。『食費がムダになる』から弁当作りを命じられて結局、妻はいつもより早起きしなければいけません。旅先ですらみじめな思いをするのがつらかったと…。モラハラ夫の恐ろしいところは『お前は稼げないから離婚もできない』『仕事もないのに親権が取れるわけがない』などと妻を追い詰め〝洗脳〟するところです」
離婚手続きは協議離婚、調停離婚、裁判離婚の3つ。日本では調停や裁判をせずに夫婦間の合意で離婚する協議離婚が約90%を占めている。モラハラ夫は特性から「自分は悪くない、妻が悪い」と主張することから、協議離婚は難しいものの、調停まで進めば多くの場合で離婚が成立するという。
「モラハラを定義づけ、モラハラにあたるので離婚を認めると明言した判例はまだありません。しかし、冒頭のような夫の言動を録音した音声やLINEのやり取りを繰り返し集めることで証拠になります。もう一つ大事なことは言動だけで立証ができなくても、3~5年ほど別居していれば、夫婦関係破綻の一事情として判決で離婚しやすくなります」
暴力や浮気ほど目立たないため、周囲の人間がモラハラに気づくことも難しい。弁護士費用をケチるのも〝あるある〟だ。
「費用を惜しんで一人で調停にやってきたものの、ネットで調べた用語をほそぼそと話すだけで、自分の意見すらまともに話せない人もいました。弱い者には強く当たるけど…というタイプですね。ある意味では妻の自己肯定感の低さを見透かされているのだと思います。私は離婚をすすめるつもりはありませんが、自分だけが我慢すればいいんだと思いこんで家を出る勇気を潰されてしまっている女性が自力で歩けるようになってほしいと思います」
モラハラの影響は夫婦間にとどまらず、子どもにも負の連鎖を引き起こしがちであることも忘れてはならない。











