【ニュースシネマパラダイス】どうも! 有村昆です。中国による台湾への軍事圧力が強まるなか、米国のペロシ下院議長が台湾を訪問し、米中関係の緊張が高まっています。中国は大規模軍事演習を実施し弾道ミサイルを発射。そのうちの5発が日本の排他的経済水域(EEZ)に落下し、日本も人ごとではありません。
映画界に目を向けると今、台湾がめちゃくちゃ熱いんですよ! 今回紹介するのはネットフリックスで配信されるやいなや、全世界で大ヒットしている台湾ホラー「呪詛」です。主人公は6歳の娘を持つシングルマザーのリー・ルオナン。以前は怪奇スポットを巡るユーチューバーで、6年前に奇妙な風習が残る小さな村を訪れ禁忌を破り呪いを受けてしまうんです。その呪いが娘にも降りかかり、それによって次々と起こる怪奇現象に悩まされることに…。
なぜ「呪詛」がこれほどに怖いのか。演出方法からひもといていきたいと思います。映画は実際に起きた事件をもとにした「モキュメンタリー」です。つまりドキュメンタリー映像のように演出したフィクション。1999年にヒットした「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」のようにファウンド・フッテージ(注・埋もれていた映像という設定のフィクション作品)を採用し、登場人物によって撮影された映像で構成されています。
さらに主人公が観客に物語への参加を促します。冒頭で観覧車のだまし絵映像を見せ、自分の意思によって見え方が変わることを体験させます。「一緒にだまされましょうよ」という手法を使ってるんです。作り手と受け手で完成させる催眠術的な映画の演出が世界的にウケてる理由なんですよ。ただ催眠術を解くことをしてくれないのでちょっと危険でもあります。超常現象を見せられたような「X―ファイル」的要素も秘めてる。なので演出方法として理解しておくと別の楽しみ方もできます。
ケヴィン・コー監督は世界の映画をよく勉強してます。「リング」(日本)の呪いのビデオ、「コンジアム」(韓国)の手持ちカメラ、「ミッドサマー」(米、スウェーデン)のような実在する宗教をベースにしたリアルさ。「犬鳴村」(日本)のユーチューブという現在のツールを使うといった、いろいろな国の演出方法をミックスしたのが「呪詛」だったということですね。
だからこそハイブリッドな作品ができ「呪詛」は世界に受け入れられた。いろんな人たちがいろんなアイデアを出して影響を受け合って、後世に文化が受け継がれていくわけです。多様性を認めずに武力で従わせることは決して許されることではありません。「呪詛」をきっかけに盛り上がりを見せる台湾映画の未来を楽しみにしたいと思います。
☆ありむら・こん 1976年7月2日生まれ。マレーシア出身。玉川大学文学部芸術学科卒業。ローカル局のラジオDJからキャリアをスタートさせ、その後映画コメンテーターとしてテレビ番組やイベントに引っ張りだこに。最新作からB級映画まで年間500本の作品を鑑賞。ユーチューブチャンネル「有村昆のシネマラボ」で紹介している。












