石原軍団を率いた渡さんのことを、兄のように慕っていたのが舘ひろしだ。舘は昨年、東京映画記者会(東京スポーツ新聞社など在京スポーツ新聞7紙の映画担当記者で構成)が投票で選ぶ「第61回ブルーリボン賞」で主演男優賞を受賞した。
映画「終わった人」の演技に対して贈られた賞だが、舘が日本の映画賞を受賞したのは意外にもこれが初めて。受賞を聞いた渡さんから連絡があったというが、その言葉は意外なものだった。
「渡にはいつも『それ以上、芝居がうまくなるな』って言われていたものですから、主演男優賞をもらって怒られるのかな、と思った」
渡さんが言う「芝居がうまくなるな」について、舘はこう説明する。
「いつも渡には『小芝居をするな』と言われる。言い換えれば『人生丸ごと演じてしまえ』ということ。うまい芝居をする人はいっぱいいるんで、そういう人たちにはかなわない。それなら、自分の存在で芝居をしていけ、という意味だと思う」
さらに舘はこんなことも話していた。「若いころ、渡に言われたのが『ひろし、お前には華がある』。そのひと言だけで、これまでやってこれたと思う」
舘は渡さんの教えを胸に、これからの役者人生を歩むはずだ。












