東京五輪・パラリンピックは選手の活躍はもちろんのこと、公式マスコット「ミライトワ」と「ソメイティ」も話題を提供してくれた。特にパラリンピックの閉会式で登場すると、SNSでは関連ワードがトレンド入り。大会後もイベントで多くのファンと触れ合ってきた。そんな〝功労者〟の姿は、生みの親であるキャラクターデザイナーの谷口亮氏(47)にどう映っていたのか――。

 ――公式マスコットの生みの親として東京五輪・パラリンピックを終えた感想は

 谷口氏(以下谷口) まずは無事に終わってよかったなというのが一番ですよね。コロナ禍であまりムードがよろしくなかったし、開催、延期、中止どれでも反対意見が出る状況だったので。

 ――ミライトワ、ソメイティの存在が大会に花を添えた

 谷口 大会期間中は裏方で一生懸命頑張ってた感じがありましたね。僕の勝手な予想ですけど、人を集めるようなことはあまり良くない感じだったから出にくかったのもあるんじゃないかなと。だから、おそらく裏方で選手たちを楽しませることがメインになり、あまりメディアに出てこなかったので、そこがちょっとだけ残念ではありましたね。

 ――パラリンピックの閉会式に登場した際にはネットやSNSで大いに盛り上がった

 谷口 あれはたまったものが最後にドカーンとなった感じで、結果的によかったなと思いました。

 ――大会後、SNSでは「#ミラソメ存続希望」というハッシュタグ付きの投稿が多く見られる

 谷口 毎日見てますし、「いいね」してますよ(笑い)。

 ――制作者も注目していたとは…

 谷口 そのような動きが出てきたときからずっとうれしいなと思っていて。繰り返しになりますが、開幕前はいろんな声を上げにくい状況が続いていましたよね。それで周囲から聞いたのが、見たいけど出てきてほしいとも言えないし、開催反対派の〝圧〟もあった中、無事に開催されたことで爆発力があったんじゃないかって。なるほどなと思いましたね。

 ――誕生のヒントになったものは

 谷口 リオデジャネイロ五輪の閉会式に安倍(晋三)元首相が登場しましたよね。あれがすごくゲームキャラクターを前面に出していたので、近未来的な日本の強みを出したいのかなイメージしました。僕はキャラクターを描くとき何の動物をベースにしようかなと考えるんですが、今回は考えずに新しい生き物のほうがいいかなと。忍者や侍といった日本らしさにスポーツイベントならでは強さを取り入れようと思ったんです。

 ――自身の作品には「かわいらしいキャラクター」が少なくないが、今回は「強さ」を意識した

 谷口 過去に今回と同じようなコンペがあって、小学生に選んでもらう機会があったんです。僕のキャラクターは男子に人気があって、女子に人気だったのは別のキャラクターでした。そこで少し女子受けするようにアレンジしてほしいと。もう一方も男子寄りに変えて改めて決選投票を…と。そういう経験があったのでかわいいだけ、カッコいいだけではダメなんだなというのが何となくあったんですよね。

 ――そうして生まれたのがミライトワとソメイティだった

 谷口 ミライトワはエンブレムのデザインとなった組市松紋の「藍色」をそのまま使ったんです。ソメイティは桜ということでピンク。ただ、そこは強めの色を使って弱いイメージにならないようにしました。

 ――改めて反響は

 谷口 先月、個人的なイベントに行ったんですけど、わざわざ会いに来てくださって、泣かれる方もいらっしゃってビックリしましたね。仕事面では僕の思いとか意見を聞いてくださるクライアントが増えたと思います(笑い)。

☆たにぐち・りょう 1974年9月5日生まれ。福岡市出身。99年にオリジナルキャラクターの制作を開始。2018年に東京五輪・パラリンピックの公式マスコットをデザインし、小学生の投票により10万9041票を獲得して選出される。週刊少年ジャンプのファンで30年以上買い続けている。