5年連続で大みそかに紅白の裏で特番が放送される深夜グルメドラマの金字塔「孤独のグルメ」シリーズの原作者・久住昌之氏(63)が、本紙のインタビューに応じた。コロナ禍で注目される〝独り飯〟の先駆者に、新しい生活様式での〝独食満喫法〟を問うてみると…。
2012年に深夜枠でひっそりとスタートしたグルメドキュメンタリードラマ「孤独のグルメ」(テレビ東京系)は、食欲をそそる料理と俳優・松重豊(58)が演じる五郎の大胆な食べっぷりや心の声が話題を呼び、ハマる人が続出。真夜中の空腹を刺激する深夜グルメドラマの元祖として根強い人気を誇り、開始から9年の今年も、5年連続で大みそかの夜にスペシャルドラマの放送が決定し、年末の風物詩となった。
「5年連続で紅白の裏はビックリ! 重圧はないけど、全国区で知られつつあるのかなと。見ない人でも紅白の合間にリモコンでチャンネルを替えて、こっちを見たりもするから顔が知られて飲み屋でやりにくい」
ドラマの本編終了後のコーナー「ふらっとQUSUMI」に登場し、五郎が立ち寄った店を実際に訪れて料理を堪能するため、近年、地方へ行っても〝顔バレ〟が増え、独り飯を楽しめなくなりつつあるのも有名税だ。
「何を頼んでいるとか見られたり、落ち着かないじゃない。コロナ以前は仕事帰りに飲むのが普通だったけど、今は近所の店しか行かない。元から食べ歩きは好きじゃなくて、旅先でするぐらい」
連続ドラマとしては約2年ぶりで7~9月に放送され、このほどブルーレイ&DVDボックスが発売された「Season9」では、マスク姿の五郎が手指を消毒し、ビニールシートやアクリル板で仕切られ、ソーシャルディスタンスを保った店内で、いつも通り豪快に食べまくった。「ふらっとQUSUMI」のコーナーも麦ソーダ(ビール)はおあずけでノンアルコールになるなど、様変わりしている。
飲みに行けなくなり、世のサラリーマン同様、意気消沈かと思いきや、「食事情が寂しくなったとかは全然ない。ピンチはチャンスじゃないけど、不自由になっていろいろ考えるから、自宅で缶ビールを飲むと、今まで雑に飲んでたな…と思って、味わいながらていねいに飲んだりして」
酒の肴にコンビニのナッツにこだわったり、ツマミとして弁当を見直したり、外食チェーンや専門店のテイクアウトをアテに飲むなど、コロナ禍でなければやらなかった工夫が面白いと、厳しい状況下なりに楽しんでいるそうだ。
そう思うのは昨年1月、心臓の手術で3週間入院したことも影響しており、「酒は一滴も飲まなかったけど、アッと言う間で楽しかった。病院食はマズいと言うけど、全然そんなことなくて。ふりかけご飯が出たり、汁抜きおかず1品とか、ムラがあって、家のご飯もそうじゃない。これが正常だと思って」
病院のテレビでグルメ番組を見ていたら、ごちそうに次ぐごちそうで、狂ってると感じ、おいしいとは何だろう? と改めて自問自答して、そうした経験をした後のコロナだったから発見の方が大きく、つらいなどは一切なかったという。
「五郎のように独り飯を楽しむ方法を教えて…とよく聞かれるけど、五郎はお腹が空いているだけなんだよ。だから、ものすごくお腹を空かせればいい。松重さんもロケの前日から何も食べずに空腹で、まさに『腹が、減った…』という完全に五郎の状態で撮影に臨む」
その料理と真剣に向き合う姿勢が、騒ぐだけのグルメ番組とは一線を画し、長年にわたり幅広い層から支持される理由だろう。
9年間で延べ150店以上が登場した「孤独のグルメ」シリーズ。コロナ禍でも過去の再放送ではなく〝通常営業〟するのは、苦境にあえぐ飲食店に対する感謝とエールに他ならない。
「大みそかの特番は、京都を出発した五郎が、車を運転しながら東京を目指す初のロードムービー。特番史上最高の土地数&店舗数で、車旅ならでは絶景と絶品尽くし」というから期待大だ。












