引田天功といえば、プリンセス天功のイメージが強いが、実は彼女は2代目で先代が存在する。日本マジック史の創成期を支えた初代は男性で、1970年代 に「木曜スペシャル大脱出」シリーズ(日本テレビ系)で一世を風靡した。DVDも未発売で、当時を知る人以外は目にする機会のなかった伝説の番組をCS チャンネル「ファミリー劇場」が約40年ぶりに放送することを決定。今では再現不可能な“大爆破、大流水、油地獄”といった超ド級のイリュージョン3連発で再びお茶の間をくぎ付けにする。
常に厳重な危機管理が問われる現在のテレビ番組に比べ、シリーズ放送当時は多少のトラブルは許される時代だった。それだけに“脱出”のスケールも桁違いで、その迫力は高画質となったハイビジョン映像もしのぐ。
12日午後9時から放送する「引田天功地獄の大流水 死の水道管大脱出!」で、初代天功は大量の水と爆発の恐怖と対峙する。手足を拘束されたまま箱に入り、地中に埋められる天功。唯一の脱出ルートは箱に直結した水道管で、行く手を阻むのは大量の水。脱出ショー定番の時限爆弾も設置した「マジックというよりスピード」(天功)が命取りな仕掛けからの脱出を目指す。「引田天功 死の火煙塔大脱出 時限装置爆破3分前」(19日午後9時〜)は同じく拘束した天功の入る箱を20メートル以上ある鉄塔の上に置いて爆破、「引田天功大脱出 油地獄・水面大炎上」(26日午後9時〜)では油の詰まった壷に投下して炎上と“火炎地獄”のオンパレードだ。
今なら爆破の規模や火の温度調整といった安全への配慮をしそうなものだが、いずれの回も一切妥協なし。収録時には実際に負傷するスタッフもいたそうで、爆破後は決まって本物の救急車と消防車もスタンバイしている。そんなド派手かつ絶望的な仕掛けから生還する天功の姿からは、結果がわかっていてもハラハラドキドキ感を味わえる。
番組最大の魅力はもちろん再現不可能な脱出ショーだが、“大げさすぎる”演出も見どころ。登場シーンやセッティング時に決まって現れるヘリコプター、毎回さまざまな見届け人が寄せる「もうやめた方がいい」「死ぬんじゃないか」と不安をあおるコメントからは緊迫感と同時に“お約束感”も楽しめる。番組開始からトークや過去のチャレンジの様子が続き、実際にショーがスタートするまではたっぷり1時間。それでも見飽きない不思議な魅力も兼ね備えている。
当時を振り返って懐かしむのもよし、演出にツッコむもよし。高度成長期のお茶の間をとりこにした「初代引田天功大脱出」シリーズには、あらゆる世代を引きつける要素が詰まっている。
☆ひきた・てんこう=1934年7月3日生まれ。神奈川県横浜市出身。当時前例のない大規模な脱出で毎回高視聴率を記録し「日本の脱出王」の異名を持つ。その後も日本マジック界のパイオニアとして活躍するが、心筋梗塞などの心臓疾患で79年12月31日、45歳の若さで他界。
【ファミリー劇場HD】伝説の「引田天功大脱出」シリーズ3作品が放送される「ファミリー劇場HD」は、スカパー!/スカパー!プレミアムサービス(月額税込み756円)で視聴できる。
「ファミリー劇場」では他にも国内ドラマや特撮、アニメ、バラエティーまであらゆるジャンルの番組を24時間放送している。誰もが楽しめるエンタメ専門チャンネルは、これまでめぐり合う機会のなかった人気番組を教えてくれる。
【視聴方法に関する問い合わせ】0120・247・888※(スカパー!カスタマーセンター新規ご加入窓口/午前10時〜午後8時・年中無休)おかけ間違いのないように。
◇ファミリー劇場 http://www.fami-geki.com/
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プリンセス天功 私しか知らない初代の素顔を教えます
師匠の復活に「引田天功」を受け継いだプリンセス天功も一肌脱ぐ。番組本編直後に、今回のために撮り下ろした短編インタビュー(各4分)を放送。
今でも印象に残っているという「死ぬかもしれない、いや大丈夫かもしれない、というギリギリの線を見せるのが冒険王だ」など、初代の言葉や思い出を交えて放送当時を振り返る。
今では世界でその名を知られるトップイリュージョニストも「大仕掛けの脱出は、全てリハーサルができないぶっつけ本番で、本物の生の恐ろしさが映し出されています」と舌を巻く偉業。
その目撃者となった後、直接DNAを叩き込まれたプリンセス天功しか知らない初代の素顔を知ることができる。
☆ぷりんせす・てんこう=1976年から初代引田天功に師事。初代の他界により、2代目引田天功を襲名した。先代の遺志を引き継ぎ、大掛かりで華やかなイリュージョンで世界を席巻。2000年に「米国エスケープアーティスト大賞(Fox net.)」を受賞。













