大相撲の横綱白鵬(35=宮城野)が22日、新型コロナウイルスに感染した実体験を証言した。白鵬は年明けの1月5日にコロナ感染が判明。4場所ぶりの出場を目指していた初場所は休場を余儀なくされた。白鵬が最初に体調の異変を自覚したのは、1月3日の朝稽古でのことだった。

「場所前ですから(稽古の)番数こなさなきゃいけないという思いで、稽古をしました。20番以上やるつもりで稽古に臨んだんですけど、10番しか稽古できなかったんですよ。これちょっとおかしいなと思って。息も上がってた」

 白鵬が抱いた疑念は、稽古後に部屋の力士たちとちゃんこを囲んだ際に「確信」へと変わった。

「ちゃんこ食べてる時に、炎鵬は米が嫌いなんだけど『米がくさい』とか言うから。それで〝どれ〟と言って米のにおいをかいでみたところ、においがなかった。そこで気づきましたね。夕方からはトレーニングもしようと思っていたんだけどキャンセルして、検査しました」

 検査から2日後に陽性が判明。その後は保健所の指示で入院生活を送ることになった。外部と隔離された不慣れな環境には苦労もあった。

「8日間、9日間か。本読んだりとかね。もう少しいたら、変になったかもしれない。(病室内を)掃除してゴミを見つけたらうれしかったりとか」

 幸いにもコロナは重症化せず、比較的軽い症状で済んだ。しかし、力士にとって、本場所へ向けてつくり上げてきた体を元に戻してしまった影響は小さくはない。

「やっぱり、実際何もしないで入院しているのはね。古傷とか、そういうものが今まで(筋肉で)固めてたものが緩くなるわけですから。そういった古傷を(再び)痛めたというのはあります」

 今は体のだるさも抜け、嗅覚や味覚も回復。3月場所(3月14日初日、東京・両国国技館)での復帰へ向けて相撲を取る稽古を再開している。現在、国技館で行われている合同稽古にも参加する意欲を示した。

「(稽古は)少しずつやってたけど、先週から相撲取る稽古を始めました。(合同稽古では)気持ちと体がかみ合ってくれば、関取衆と稽古したい」

 昨年は5場所中1場所しか皆勤できず、11月場所後の横綱審議委員会では史上初の「注意」を決議された。優勝44回を誇る大横綱は、数々のケガとコロナを克服して復活した姿を見せることができるのか。