コロナ余波“ゴム大国”マレーシアの工場閉鎖 世界で深刻「コンドーム不足」

2020年04月02日 16時00分

【アツいアジアから旬ネタ直送 亜細亜スポーツ】地球規模の新型コロナウイルス禍で、意外やコンドームが不足している。

 感染予防で「社会的距離」を保てとはいえ、同居の夫婦やカップルは別。巣ごもり生活が続けば、コンドーム消費が増えるのは当然の流れだ。米ニュースサイト「マーキュリー・ニュース」によると、先月19日から外出禁止令が出ているカリフォルニア州をはじめ、全米でコンドームの売り上げが伸びているという。

 香港やシンガポールなど、世界的にも同様の現象が起きている。コンドームがコロナ予防になるというデマが流れたこと、また感染対策で指にハメてエレベーターのボタンを押す画像がシンガポールなどでバズったのも影響したとみられる。

 そんななか先月27日、アジアの複数のメディアは、マレーシアに本拠を置く世界的コンドームメーカー「カレックス」が都市封鎖で工場の操業を停止していると報じた。

 同社は世界シェア15%で、コンドームを年間約30億個作っている。「日本メーカーの『相模ゴム』も現地工場を持っているし、マレーシアはあまり知られていないが“コンドーム天国”」とは、首都クアラルンプールの駐在員。

 英国統治時代、マレーシアでは天然ゴムのプランテーション開発が進められた。今では飛行機や車のタイヤ、工業製品など世界的ゴム需要の伸びを受け、一大産業に成長。コンドームの生産でも知られるようになった。

 ところが先月18日から始まった都市封鎖で、カレックス社は国内の3工場を閉鎖。ゴー・ミア・キアットCEOは「このままでは世界的なコンドーム不足になるかもしれない」と嘆いている。

「生活必需品の工場は、社員の半分だけ出社させるのを条件に国が操業を許可している。だからカレックスもコンドームを生活必需品に含めてもらえるよう、政府当局に掛け合っているようだ」(駐在員)

 ほかコンドーム工場が集中するのは“コロナ震源地”中国と、都市封鎖下のタイ、インドだ。この先、供給が減り続けたら「年末から来年にかけて世界的なベビーブームが来るかも」なんて声も。

 ただマレーシアは、医療用ゴム手袋の生産大国でもある。「メーカー大手『トップ・グローブ』は世界シェア25%で、生産量は年間575億枚。工場は世界各地にあるが、各国の都市・国境封鎖の影響をもろに受けている。“ゴム手”は世界中のあらゆる医療機関で必要なのに、供給が続けられるか危ぶまれている」(同)

 同じゴムでも、手袋の方が優先順位は上か。(室橋裕和)

☆むろはし・ひろかず 1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め、2014年に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。最新著書は「バンコクドリーム『Gダイアリー』編集部青春記」(イースト・プレス)。