東京都三鷹市にある「三鷹天命反転住宅」が、珍建築マニアやコスプレイヤーなどから注目を集めている。

 幹線道路に面しているこの住宅は、美術家・建築家の荒川修作氏とマドリン・ギンズ氏が手がけた集合住宅で全9戸。2005年に建てられたもので、黄色や緑、オレンジなどカラフルに塗られ、各戸は積み木を積み上げたような感じになっている。珍建築マニア垂涎の建築物だ。

 昨年、大規模な修繕計画を進める予定だったが、新型コロナの影響でショートステイ(短期滞在プログラム)の利用者がなくなったうえ、これまで定期的に開催されてきた見学会などのイベントも中止となり、経済的な部分で窮地に追い込まれている。建物は昨年、15周年を迎えたばかり。大がかりな修繕が必要な時期になっていた。

 現在、三鷹天命反転住宅は、大規模修繕費用に充てるための支援金を募るクラウドファンディングを行っている。リターンとして「たてもの見学会ご招待券」や「テレワークプランご招待券」「ショートステイご招待券」などがある。募集期間は12月10日まで。この状況を知ったのは珍建築マニアやコスプレマニアだ。

 珍建築マニアの男性は「三鷹天命反転住宅がクラウドファンディングを行っていることを知って、慌てて撮影に行ったんです。建築とアートが合体した貴重な作品なので、撮るだけではなく自分たちもお金を出して守っていかなければならないと思っています。東京にはさまざまな風変わりな建物がありますが、黒川紀章さんの中銀ビルのように取り壊しになってしまうのはもったいないことです」と語る。

 また、コスプレイヤーの女性は「ネットで見つけて面白い建物だなって思いました。とても未来的ですよね。友達と一緒に行って初音ミクのコスプレで写真を撮ってきました。建物の中で写真を撮れたらもう最高だったんですけど、許可がないと無理ですよね。でも、かっこいい写真が撮れたので満足しています。みんなにも広めたいと思っています」。

 今後、どのような展開になるのか建築マニアでなくとも気になるところだ。