元「とくダネ!」ディレクター村上崇氏 異色経歴と波乱の転身

2021年09月20日 10時00分

失敗談も明かした村上崇氏(東スポWeb)
失敗談も明かした村上崇氏(東スポWeb)

【直撃!エモPeople】芸人、映画監督、ワイドショーディレクター…異色の経歴を持つ社長の波乱の転身人生。コロナ禍にもめげず、元気なのがPR・デジタルマーケティングを手掛ける「㈱カーツメディアワークス」(東京・渋谷区)の村上崇社長(45)だ。元芸人らしく、失敗談や発想法、“聖なる歌声”で知られる歌手との結婚まで大公開。コロナ苦境の今、その生きざまから見えてくるものとは――。

 中学時代の同級生・米戸信介さんと組んだ漫才コンビ「てんぷら兄弟」(のちに「デカレース」に改名)ではボケを担当。大阪吉本興業に所属し、深夜番組ではSM嬢にムチで打たれて将来を占われ「アンタら売れへん」と言われ、住んでいた家賃9000円のアパートにAV女優が訪問し、激マズ料理を振る舞われ悶絶するなど体を張った。

「世代的に“ダウンタウン病”みたいでしたね。本当はウッチャンナンチャンの内村光良さんみたいな、人を傷つけない笑いが好きなのに、当時はそれがカッコ悪いと思って無理やり毒舌をやったこともありました。でももともと物腰柔らかい、真面目な僕にはできなかった。山の中で育ち、大勢の人を目にすることなんてなかったので、舞台に上がると緊張して手足が震え、動悸がして、いつまでたっても舞台慣れしないという根本的な欠点にも気付いた。相方が『彼女と結婚したいのでお笑いやめたい』と言い出した22歳で引退しました」

 高校は理系エリートが集まる国立高専(5年制)の電子制御科でロボット工学を専攻。探求心と行動力はあった。お笑いの次は興味があった映画の世界に突き進んだ。

 上京し、映画学校に入り、オオカミ男が登場する19分作品「00‘s wolf Man」を監督。同作は「第4回インディーズムービーフェスティバル」の短編部門グランプリに輝いた。だが「スポットライトを浴びた授賞式では、次回作への意気込みを聞かれて、元芸人の“笑いを取りたい病”が出て『金をためてヤミ金やります』と答えるようなヘンなヤツでした」と村上氏。

 受賞時、ニュース番組の特集枠を制作するフリーディレクターの仕事を始めていた。村上氏の転身術は次を見据え、常に並行して動きだすことだ。

「芸人をあきらめかけたときに映画製作を始め、映画で賞を取っても資金不足だからディレクターの仕事を始め、その途中で始めたのが今のPR会社の原形。いつも2~3足のわらじを履くイメージです。副業で保険をかけながら、軌道に乗れば転身してきました」

 現在、代表を務める「カーツメディアワークス」は企業や自治体のPR、デジタルマーケティングを支援する会社。コロナ禍ではオンライン記者会見システムを構築し、8年がかりで立ち上げた海外向けPRシステムに登録する海外メディアは1000社を超えた。

 失敗や後悔も数多い。25歳で設立した会社ではレンタルビデオ店の店員をしていた若い人を役員に抜てき。会社の業績が傾くと「僕の原チャリをパクって逃げられた」。本格始動した現在の会社でも2014年、右腕だった役員と社員の半分が社を離れた。社長権限で投資や海外進出などを進めたのが原因だった。「ワンマンだったと猛省し、今は社員25人、風通しの良い会社になってると思います」

 ワイドショー「とくダネ!」時代にはディレクターからアシスタントディレクター(AD)に降格したこともあった。

「生放送で舞い上がって、容疑者宅ではない家にズームしたり、当時北朝鮮から帰国した姉妹の放送時、徹夜で用意したスーパー(字幕)が『長女〇〇ディレクター、次女〇〇長官』と、とんでもないものになって寸前で直されたり。降格は屈辱でしたが、なんとか耐えてディレクターに戻りました」

 夫人は「聖なる歌声」と称され、ローマ法王への賛美歌献上(15年)でも知られる歌手・カノン(41)だ。出会いも「とくダネ!」時代だった。

「当時、ひどい失恋をして、カノンのマネジャーさんからもらったデビューCDを聴いたらポロリと泣いた。それで直接会わせてもらったのが初対面。結婚するならピアニストやバレリーナなど、生活感のない人としたい願望があって、2年間交際し結婚しました。副業で運営していたPRのプラットフォームを売却した利益を結婚資金にしました」

 転身を繰り返しながらも、ポジティブに生き抜くたくましさがほとばしる。そんな部分に夫人もほれたのではないか。

 ☆むらかみ・たかし 1976年7月13日生まれ。岡山県美咲町出身。国立津山高専電子制御科でロボット工学専攻。18歳で中退し、吉本総合芸能学院(NSC)入り(第15期生)。漫才コンビ「てんぷら兄弟」でデビュー。22歳で引退し、映画製作開始。2002年、第4回インディーズムービーフェスティバル短編部門グランプリを受賞。同年、テレビの報道番組フリーディレクターと並行し、会社設立。ワイドショー「とくダネ!」ディレクター時の08年に結婚。10年「カーツメディアワークス」設立。同社は放送・配信中のドラマ「スイートリベンジ」(フジテレビ系)も制作。

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