これでは〝水際対策〟も名ばかりだ。東京五輪の開幕が目前に迫る中、各国の選手団が続々と来日している。成田空港では当初、一般旅客と同様に空港検疫で新型コロナウイルスの陰性が確認された上で入国手続きをしていたが、その後に方式を変更。検査結果が出る前に入国手続きを行うようになった。

 変更の理由は検査などに伴う混雑緩和や選手団の待ち時間の短縮が狙い。しかし、ある医療従事者は「今までは検査結果が出るまで空港で待つ形だった。選手を待たせるのが悪いから検査結果が出る前に先に入らせるようなことをしてしまったら、もっと感染が広がってしまうのでは。今まででさえ、検査をすり抜けて陽性の方が入国していたのに」と表情を曇らせる。

 実際に、先月には来日したウガンダ選手団で陽性者が確認され、水際対策の〝穴〟が指摘された。同関係者は「感染防止のことを最優先に考えれば、そこは緩めてはいけないと思う」と語気を強めた。また、検疫所を管轄する厚生労働省の担当者によると、一般旅客との接触を避けるべく、案内係が待機場所まで選手らを誘導するというが、大会関係者と一般旅客が空港内で接触した事例もある。

 前出関係者は「バブルとか言いつつ、結局(一般旅客と選手が)接触している。できれば14日間の待機を空港でしてほしいぐらいだが、せめて検査結果が出るぐらいまでは待機できないのだろうか」と苦言を呈した。東京都では12日に緊急事態宣言が再発令され、新たに502人が感染。23日連続で前の週の同じ曜日を上回った。感染拡大が進む中、中途半端な対応で本当に大丈夫なのだろうか…。