とても祭典どころではなくなってきた。東京五輪開幕が2週間後に迫る中、国内では新型コロナウイルス感染が再び拡大。東京の感染者数は7日に920人となり、18日連続で前週の同じ曜日を上回った。政府は東京都に4度目の緊急事態宣言を発令する方針で、都内の五輪会場を無観客とする案も浮上している。一方で、医療関係者は改めて五輪開催中の「医療崩壊」を危惧。開催への不安は広がる一方だ。

 先月20日に沖縄県を除くすべての地域で緊急事態宣言が解除されたものの、すぐさま各地で感染者が増加。7日には全国で2191人がコロナに感染し、約4週間ぶりに2000人の大台を上回った。

 東京の緊急事態宣言の期限は東京パラリンピック開幕2日前の来月22日までの予定。ある医療従事者は「(先月20日に)緊急事態宣言が解除されてから2~3週間ぐらいたった。専門家も2週間後ぐらいから数字に反映されてくると言っていたし、その数字が出てきてしまった。東京は明らかに人流が増えている。どうしても人出が増えると感染者も増えてしまう」と表情を曇らせた。

 いまだにコロナが終息するメドが立たない中、あくまでも政府は〝ワクチン頼み〟。菅義偉首相(72)は7日に「ワクチン接種をなるべく早く進める。ワクチン一本でいきたい」と述べたが、同関係者は「ワクチンを打ったから感染をしないというわけではない。(そもそも)ワクチンがそこまで行き渡っていない。感染者は増えていくと思う。近々(東京の感染者は)1000人は超えるでしょう」と悲観的な見方を示した。

 実際、菅首相の思惑とは裏腹に各自治体にはワクチンが行き届いていないのが現状。政府によるワクチン供給が7月から減少したため、住民接種の予約受け付けの停止や制限を行う自治体が多く見受けられる。先の見えないコロナとの戦いに、医療従事者への負担は増すばかりだ。

 前出関係者は「本当に(五輪のために来た)外国人選手や関係者たちがコロナに感染して、病院にかかるとなれば、病院側に余力はない。東京都で1日の感染者が1000人を超えてきたら、病床もいっぱいになってくると思う。なるべく五輪関係での感染拡大は抑えないと、病院も患者を受け入れられない。本当は中止か再延期にしてほしい」と訴えた。

 政府ではコロナの再拡大を受けて、東京五輪の都内会場を無観客とする案も浮上。お祭りムードからは程遠い状況だ。