中国・雲南省を北進するアジアゾウ15頭の群れは、本来の生息地から500キロも離れたが、いまだ北進をやめる気配はない。今月2日に省都・昆明市に侵入。人家や畑を荒らす被害が出ている。

 4日以降はエサで誘導されて西側へそれて難を逃れたが、雲南省南部の自然保護区では別のアジアゾウ17頭の群れが移動を開始。予断を許さない状況になっている。

 今回の件をめぐっては、酒を飲んで酔っ払った2頭が群れから脱落したり、酒かすを食べて酔っ払った1頭が群れから脱落しかけるなど、ほのぼのとした話題も多いが、アジアゾウは東南アジアで毎年死者を出すほどの危険生物だ。それが群れで人の生活エリアに出没するのは異常事態と言わざるを得ない。

 しかも、今回のアジアゾウは生息域の北限を越えるような常識外れの行動を見せている。専門家は「オスの若いリーダーが道に迷ったのでは?」という見解を示しているが、新たに移動を開始した17頭の群れも含めて、まだまだ目が離せない状況が続きそうだ。

 大地震などの前には、「宏観異常現象」といわれる動物の異常行動が観測されることがある。ネズミの大移動やクジラのマスストランディング(集団座礁)などだが、ひょっとしてこのゾウの移動も大きな天災の前兆かもしれない。

 それというのも、雲南省では先月、マグニチュード6以上の地震が発生し、余震も数百回起きている。大地震の前兆で、ゾウが安全な場所を探してでもいるのだろうか。

 ちなみに「満漢全席」という言葉がある。豪華フルコースのことだが、ツバメの巣やラクダのコブ、クマの手のひらなど「四八珍」という珍しい素材が入っていることが必要条件らしい。その中には「象抜」というゾウの鼻がある。入手困難な超珍味なだけに、ゾウたちが弱った際には食材になりかねない!?