日本の伝統芸能が〝最新技術〟とタッグを組みコロナ対策に挑む――。日本吟剣詩舞振興会が29日ニッショーホールで、千葉大学工学部の協力を得て「舞台演目別 飛沫実証実験」を行った。

 コロナ禍で、各種イベントが中止延期や入場者制限などの影響を受けている。さらに演者も観客も高齢者が多いだけにコロナ対策によりナーバスにならざるを得ない。

「吟剣詩舞」とは詩吟とも呼ばれる漢詩の世界を吟じ上げる「吟詠」、刀を持ちながら舞い、詩の世界観を表現する「剣舞」、そして扇や衣装で吟詠世界を表現する「詩舞」の3つからなる日本の伝統芸能だ。

 演者が映画「メン・イン・ブラック」のようないで立ちで舞台に上がるなどシュールに見えるが、真面目な実験。広渡英治専務理事(73歳)は「千葉大学工学部の技術は、最新技術といってもいいと思います。今日の実験でもマスクをすれば飛沫がほとんど出ないという声も聞かれ安心してます」と笑顔を見せた。

 さらに「指導者たちがなんとしても伝統芸能を守りたいという強い意識がありました。今はお弟子さんに教えることができない。指導者たちの根気がなくならいうちに」と実験効果に期待を寄せた。