元名脇役がついにムショ入りだ。派遣型マッサージ店の30代女性セラピストAさんに乱暴したとして、強制性交罪に問われた元俳優、新井浩文(本名パク・キョンベ)被告(41)の懲役4年の実刑判決が2日に確定した。同被告といえば、公判時に事件当日の自作再現ビデオを2分28秒にわたって上映し、世間を仰天させたが、それどころではない〝法廷ドラマ〟があったことが本紙の取材で判明。嫌悪感を示すAさんが思わず吐いた〝衝撃のセリフ〟とは? 前代未聞の公判の舞台裏を紙上再現する――。

 高裁判決によると、新井被告は2018年7月1日、都内の自宅でAさんに性的暴行をした。

 昨年9月2日に東京地裁で行われた初公判。新井被告は法廷で、Aさんとのセックスは合意の上と間違って思い込んでしまったと主張した。新井被告と顔を合わせないよう配慮されたAさんは、法廷ではなく地裁内の別室に。性行為は合意していなかったと反論した。

 Aさんは新井被告が反省の意思を示すか見極めようとした。ところが、罪の意識が感じられない供述を別室で聞いて、怒りが沸いたという。

「同じ空気すら吸いたくない!」

 顔を合わせなかったが、短時間でも同じ場所に居合わせたことに強い嫌悪感を覚えたという。

 Aさんは同月26日の第2回公判に続き、10月23日の第3回公判も欠席。出廷する新井被告に近づきたくなかった。代わりに、第3回公判のために自身の母に意見陳述書などが入った封筒を託した。

 その陳述書には、事件の日にセックスを迫る新井被告に「抵抗できなかった」などと悲痛な訴えを記した。

 娘の陳述書を受け取ったAさんの母は、裁判所に足を踏み入れたのは、おそらく初めてだったのだろう。地裁の玄関に到着し緊張したに違いない。

「お母さん、こっちです!」

 Aさんの代理人弁護士から声をかけられ、その姿を見つけてホッとすると、封筒を手渡した。

 第3回公判で結審して迎えた昨年12月2日の一審判決。地裁はAさんの主張を全面的に採用し、新井被告の訴えをことごとく退けて、懲役5年の実刑判決を下した。

「ムショ行きは勘弁…」

 焦った新井被告は即日控訴。ほどなくしてAさんと民事上の和解交渉を始めた。

 Aさんは自身の代理人弁護士と協議。慰謝料300万円を受け取って民事上で和解しても、刑事上では宥恕(ゆうじょ=相手を許すこと)しない方針を確認したとみられる。

 第2ラウンド。今年10月12日に東京高裁であった控訴審の初公判で、新井被告の代理人弁護士は、セックスは合意の上だと勘違いしたと一審の主張をなぞった。執行猶予判決に持ち込めるような材料はない。この時点で新井被告は〝詰んで〟いた。

 先月17日の二審判決で、民事での和解が考慮されて1年減刑となったものの、懲役4年の実刑判決に変わりはなかった。

 法曹関係者は「近年の性犯罪事案は、被害弁償しても実刑がつく傾向にある。1年軽減されただけで納得すべき」と解説する。

「観念したようだ」

 新井被告周辺から情報が漏れてきたのは、先月末。上告して最高裁まで争うか注目されたが、高裁は本紙取材に対し、新井被告から期限の1日までに上告はなかったと説明した。高裁判決が確定したのは今月2日付。一審の地裁判決からちょうど1年だった。

 東スポWebで2日昼、実刑確定を速報すると、新井被告に「刑務所入って反省して下さい」との叱責や、Aさんに「心の傷はまだまだ癒えないと思います」と気遣いが相次いだ。

〝主演〟新井浩文。いつも脇で存在感を放った役者が主役に躍り出たリアルな法廷ドラマは、こうして最終回を終えた。