演出家・中野敦之(38)が代表を務める「劇団唐ゼミ☆」が22日、東京・新宿区の新宿中央公園水の広場特設劇場でテント演劇「唐版 風の又三郎(3幕)」(17~22日)の千秋楽公演を迎えた。同劇団の生みの親である、俳優・唐十郎(80)がカーテンコールに登場した。

 旗揚げ20周年を迎えた劇団唐ゼミ☆は唐十郎の最高傑作と称される「風の又三郎」を披露。同劇団の象徴である青テントでの公演は、新型コロナウイルス感染症の影響で十分な換気と収容客数を減らした万全の態勢で行われた。

 今回の公演にあたり、新宿区や商店街、演劇関係者ら数多くの支援があった。中野は千秋楽を終え師匠・唐十郎を前に「今回で旗揚げから30回目の記念公演でずっと憧れていた演目に挑戦できた。唐さん、立ち会っていただいた皆さま、本当にありがとうございました」と多くの思いが詰まった演目を完走したことに安堵感をにじませていた。

 カーテンコールで軽いあいさつを行った唐十郎は公演終了後、報道陣の取材に対応。同公演の千秋楽を観覧し「よかった」と手短に祝した。

 ケガなどの影響で唐十郎が公の場に出てきたことは久々だそう。その裏には唐十郎の熱い思いがあったと語る中野は「コロナの影響で演劇界が危機的な状況になった。こうした状況下で唐さんは我々に意図を明かさず人前に登場することを決断した。演劇界に元気と喝を与えるために、自身の背中で語りたかったんだと思う」と舞台裏を明かした。

 日本を代表する演出家・唐十郎の登場に多くの演出家や演劇関係者は活気付いたに違いない。