新型コロナウイルスの感染拡大による影響を受け、消費が落ち込んだ生産者を支援するために、全国の小・中学校で給食に和牛などの高級食材を使用する動きが広がっている。

 給食栄養士は「学校給食に高級な和牛や地鶏、果物、水産物が全国的に使われるようになった。子供の食育に関心を持つ保護者からは歓迎されてますよ」と語る。

 コロナの影響で和牛や高級果物、高級魚の売れ行きが落ち込み、価格も下落。生産者を救済するため、農水省は4月に「国産農林水産物等販売促進緊急対策事業」として約1400億円の財源を確保。その一環として、5月から学校給食の食材費の掛かり増し分を助成する「学校給食提供推進事業」をスタートさせた。

「農水省は、和牛を給食に提供することで在庫解消に一定の効果が期待でき、子供たちの食育にもなり、将来の需要開拓になると判断した」(食品ジャーナリスト)

 こうして兵庫県では、最高級ブランド牛の神戸ビーフが初めて給食に登場。10月からサイコロステーキや焼き肉、牛丼などが小・中学校で提供されている。神戸ビーフは、輸出拡大や訪日外国人観光客の間で人気になり、偽物が出回るほど生産が間に合わない状態だったが、コロナ禍で客が消え、生産者は頭を抱えていた。販売店も在庫を抱えていても仕方がないと安売りしていたが、給食提供で救われた形だ。

「神戸ビーフは来年3月まで兵庫県内1086校で約60トンが給食に提供される。これは年間生産量の4%相当。取引額は加工費などを含め6億円で在庫解消につながってます。京都では京都牛のほか、1個1000円もする高級食材の丹後とり貝がとり貝ごはんとして給食に登場し、親がうらやましがってますよ」(在阪報道関係者)

 そのほか、神奈川県では葉山牛や湘南牛、三浦半島の三崎のマグロ、石川県では能登牛、鳥取県では鳥取牛、山形県では米沢牛など、各地で高級食材が提供されている。