タレントで俳優の岸部四郎さんが先月28日に急性心不全のため死去していたことが分かった。71歳だった。

 その生涯は波乱万丈。人気バンド「ザ・タイガース」のメンバーとして一世を風靡。解散後は、1984年10月から沢田亜矢子の後任として「ルックルックこんにちは」(同)の司会を務めるなど、〝お茶の間〟の顔として定着した。

 だが、生来の浪費グセや無謀な事業展開がたたり、98年に自己破産。所属事務所もクビになり、人生は暗転する。

 それでも活路を見出したのが岸部さんだった。借金ネタを自虐的に語ることで、徐々にバラエティー番組に呼ばれるようになる。

 なかでも2002年放送の日本テレビ系「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで」の〝ドッキリ企画〟は「神回」との呼び声も高い。

 これはウソ企画で呼び出された岸部さんが、行く先々で落とし穴にハマっていくというもの。計4度も落とされた岸部さんは次第に壊れていき「俺を誰や思うてんねん! 元金持ちやぞ!」「もう、カネしかないなあ!」などと名言を連発。最後はロケバスの中でプロデューサーとギャラ交渉するのだが、あのダウンタウンの2人が笑いをこらえるのに必死なほど、〝笑いの神〟を身に宿していた。

「実は岸部さんは〝神回メーカー〟で知られています。晩年は体調が芳しくありませんでしたが、出てくれた時は体を張ることもいとわない。自己破産してもテレビで活躍した人は岸部さんしかいないと思います」とはテレビ関係者。
 
 ネット上では「岸部さんありがとう」「めちゃくちゃ笑わせてもらいました」など、惜別の声が寄せられている。