ハレンチ刑事事件の代償は大きそうだ。ベテラン女優高畑淳子(64)の長男で、2016年8月に強姦致傷容疑で逮捕(不起訴処分)され、芸能活動を休止していた俳優の高畑裕太(25)が16日、都内で行われた舞台「さよなら西湖クン」(25日まで、演出・和田憲明氏)の初日公演に出演した。3年ぶりの公の仕事となり、いよいよ本格復帰かと思われたが、実情は全く違うという。同公演の関係者が本紙に証言して浮かび上がった“2世俳優”の厳しい現状と、初日公演の舞台裏とは――。

 高畑のリスタートが切られたのは、東京・下北沢の「小劇場B1」だった。野球のリトルリーグのメンバー6人が大人になって再会する物語だ。高畑は脇役で、気性の荒いヤンチャな青年を担った。役作りのため茶髪にして臨み、本番では酔っ払ってキレるシーンを熱演した。

 母淳子、異父姉で女優の高畑こと美(32)も会場で観賞したが、取材には応じずじまい。高畑は公演後、関係者が運転する車の後部座席に座り、去っていった。

 3年ぶりの晴れ舞台となるはずだった。しかし、高畑の名前ばかりが先行して出演の舞台裏が見えてこない。

 同舞台の関係者によれば、今回の作品は性格上、一般的に行われている“商業演劇”ではなく“小劇場演劇”に近い。「いわゆる『興行』とは少々違う」と説明する。

 今回の作品はもともと「憲明さんが若手の役者を集めて企画している」一環だそうで、商業ベースに乗せておらず無名の役者に経験を積ませる要素が強いという。たしかにキャストは高畑以外無名だ。

「キャスティングしたのは憲明さんひとり」だったそうで、淳子の推薦があったかは不明。ただ、和田氏の所属事務所は高畑の前事務所だけに、何らかの手助けをした可能性はある。

 また、チケットの価格を見ると、前売り券4000円、当日券4500円だが、「今回の劇場はキャパが120人ほどで、この規模のハコであればチケットの価格は7000~8000円で『興行』と言える」。本格的な舞台との位置づけではないため、「復帰」と呼ぶにふさわしい場かは何とも言えないようだ。

 高畑には「現時点でマネジャーが不在」という。事件を起こしてイメージが失墜しただけに、同舞台以外で芸能界からオファーが舞い込むかは微妙。現状は見切り発車で、公演がすべて終われば“開店休業状態”へ逆戻りすることもあり得る。

 また、本紙の調べでは、同舞台の制作会社は今年6月上旬に都内に設立されたばかり。資本金は1万円で実質的な社員は1人と超小規模。高畑が今後も継続的に出演する受け皿を用意できそうにない。それでも、当の高畑は本格的に活動を再開させ、俳優としてリベンジしたいとの意志が強いようだ。

 前出関係者によれば、「憲明さんの舞台は稽古が厳しくて有名」。過去には「稽古中のダメ出しが続いて逃げ出した役者もいた」。また同氏が稽古の期間中、「あの役者だと作品に合わないかもしれないから他の役者に変更したい」などと判断し、キャストを変更したこともあったという。

 そんな中でも、高畑は7月15日から東京・水天宮の稽古場で1か月間、ほぼ毎日午後1時から9時まで行われた鬼の演出家によるハードな稽古から脱落せず必死にしがみついた。キャストの“チェンジ”を食らうこともなく、初日にこぎ着けた。

 本紙は高畑の前事務所に再契約の意向を確認すべく電話したが、応答ナシ。淳子の事務所に質問状を送付したものの締め切りまでに回答はなかった。

 今回の公演が本格復帰につながるかは分からないが、まずは楽日まで全力で駆け抜けるしかない。