2007年公開の映画「童貞。をプロデュース」を巡って、「童貞1号」として出演した俳優の加賀賢三氏が「撮影中、同意なしに性行為を強要された」と被害を訴えていた問題で先日、同作の松江哲明監督らが「加賀さんの気持ちを無視して、作品の完成、展開を優先してしまったことを深く反省しています。申し訳ありませんでした」と謝罪した。

 同作は毎夏、繰り返し上映された。一昨年夏、10周年記念の舞台あいさつで、加賀氏が壇上で下半身を露出し、監督の頭をつかんで自身の股間に押し付けようとしながら「しゃぶれよ、オラッ! あの時(撮影時)、俺にやったみたいにやれよ!」と罵声を浴びせたことは本紙でも報じた。撮影中、無理やり羽交い締めにされAV女優にフェラされたという“事件”で、加賀氏は長らく被害をブログで訴えてきたが、ようやく謝罪を得た。

 この騒動にハリウッドで活躍する俳優の竹嶋利仁はこう語る。

「米国では、ヌーディティー(裸)がある場合はキャスティングの段階で告げられますし、どこで公開されるかも知らされます。契約の段階で書面で説明が行われていたらよかったのでしょう。米国ではすぐに訴訟問題になりますし、今はソーシャルネットワークで拡散されて、問題ある作り手はすぐに叩かれます。ネットワークが普及していることの良い傾向だと思います。過去の出来事が明るみに出ることもあります」と語る。

 有名な例では、ハリウッドの有名プロデューサー・ハーベイ・ワインスタイン氏が長年、セクハラや配役を決める段階で“キャスティングカウチ”(枕営業)を強要してきた事件がある。

 竹嶋は「有名になりたい若い女優は、これを我慢しないと道が開けないと思ってしまうのかもしれません。それによって起きた『#MeToo運動』は、過去の被害者にセクハラ被害の告白を促す運動でした。米国では明るみに出たセクハラの加害者は即刻業界から追放されます。加賀さんの件はれっきとしたセクハラでありパワハラです」と指摘している。