映画「高崎グラフィティ。」主演女優・佐藤玲 故蜷川さんの言葉で気づいた「プロとは何か」

2018年08月17日 11時00分

蜷川魂を胸に秘める佐藤玲

 群馬県高崎市を舞台に若者の群像劇を描く映画「高崎グラフィティ。」(18日から高崎先行公開、25日から全国順次公開)の主演を務める女優の佐藤玲(りょう=26)がこのほど本紙の単独インタビューに応じた。多彩な演技力と持ち前のバイタリティーで今や映画、テレビに引っ張りだこ。今回の作品では鬱屈した少女・美紀を好演しているが、自身の半生と重なり合うところがあったとか。偉大な演出家・故蜷川幸雄さんの言葉を胸に大活躍する注目女優の本音に迫った。

 ――主演のきっかけは

 佐藤:今回の川島直人監督とは日芸(日本大学芸術学部)の同期なんですよ。カメラマンとかほかにもたくさん同期がいて「何かやりたいね」とツイッター上で連絡し合ったのがきっかけでした。

 ――なぜ高崎なのか

 佐藤:カメラマンの地元だったんです(笑い)。監督のイメージにあった「東京の目と鼻の先だが、田舎で、古き良き商店街がある」に合致しました。

 ――美紀をはじめ男女5人の若者の物語とは

 佐藤:高校卒業後、自分の夢をかなえるため専門学校に通う予定が、父に入学金を持ち逃げされてしまいます。それで美紀は葛藤しますが、やがてそれをポジティブに捉えていく成長物語です。

 ――監督から指示されたこと

 佐藤:特になくて、自分の思った通りにどうぞ、と。ただ、友人たちの成長物語なので、役柄とリンクするように、現場では仲良くなろうと心がけていました。

 ――実際仲良しに

 佐藤:ずっとみんなしゃべっていました。もちろん、役に近づくためでもあるんですが、リアルに「人狼ゲーム」で遊んでいました(笑い)。でもそれが作品にもナチュラルに反映されたと思います。この前もみんなでご飯食べに行きましたし。

 ――自身の10代と重なり合うことも

 佐藤:あるかもしれません。私も女優というやりたいことがありましたから。

 ――芸能界に入った経緯とは

 佐藤:小5の時に国民的美少女コンテストを受けたことがあるんです。そしたら3次審査ぐらいで落ちてしまって超悔しくて(笑い)。負けず嫌いなんでしょうね。それで中3の時、劇団に入って女優業を勉強し始めたんです。

 ――そこでも挫折が

 佐藤:なかなか使ってくれないんですよ。演出家に聞いたら「まだ若いからね。これからいくらでも機会はあるし」と。もう「うるせー!」と思ってしまい、劇団を辞めちゃいました(笑い)。そんな時、オーディション雑誌をパッと開いたら蜷川さん舞台の募集があったんです。受けたら受かりました。

 ――蜷川さんから言われて印象に残った言葉は

 佐藤:初めて仙台や大阪など地方での公演がある舞台だったんですよ。そしたら蜷川さんが「どうだ、人の金で地方で仕事するのは楽しいだろう」とおっしゃるんです。「なるほど、これがプロなんだ」と目が覚める思いでした。

 ――“蜷川魂”だ

 佐藤:自分がやりたいだけじゃなく、求められることが大事なんだと。それまではプロの女優にピンときていなかったところがあって…。今でも仕事に生きています。

☆さとう・りょう 1992年7月10日生まれ。東京都出身。日本大学芸術学部卒業。2012年蜷川幸雄演出の舞台「日の浦姫物語」の娘役で女優デビュー。14年に映画「おばけ」で初主演を飾ると「色あせてカラフル」「沈黙―サイレンス―」など出演作多数。