愛知・名古屋アジア大会陸上女子100メートル障害決勝(27日、名古屋市瑞穂公園陸上競技場)、福部真子(30=日本建設工業)が12秒74をマークして金メダルを獲得した。今大会限りでの引退を視野に入れながらも、日本勢44年ぶりの快挙。その裏には生粋の〝負けん気〟が隠されていた。
2024年12月に「菊池病」の発症を公表した福部は苦しんでいた。頸部リンパ節に良性の炎症が起きて発熱などが生じる原因不明の病気で、だましだまし練習を続けてきた。ところが「37度(の熱)でも36度台の体とはやっぱり違う。奮起するのに疲れてしまっている」と今の心境を吐露。十分な鍛錬を積めず、引退の2文字が自然と頭に浮かぶようになった。
菊池病の公表に踏み切ったのは「走ること以外で自分が人の気持ちや心を動かせるとは思えないので、自分のやれることをやりたい」との思いからだ。病気の特性上、熱が長く続くこともなければ、風邪みたいな症状が出るわけでもない。頻繁に体調が変わる病気と知ってもらうことで「菊池病の認知が広まって、菊池病の方が1人でも多く生きやすい社会になったら」と願いを語った。
この日は「集大成としてしっかり走れたら、結果もついてくる」と覚悟を持ってスタートラインに立った。もともと何事も負けることが大嫌いな性格。「ゲームのスマブラ(大乱闘スマッシュブラザーズ)で負けると、半泣きになってしまう。ゲームで負けてもどうにかなることないのに…。でも、なんかそういう時に『あーもう根っからの負けず嫌いなんだな』って思うかな」と笑うほどだ。
生まれ持ったメンタリティーは大一番で遺憾なく発揮された。スタートから積極的にレースを進めると、終盤は中島ひとみ(長谷川体育施設)との競り合いを制して頂点の座を奪取。「一人じゃ絶対に取れなかったメダルの色。本当に今まで自分が取ってきたメダルの中で一番価値のある金メダル」と感極まった。
どん底からはい上がり、勝ち取ったタイトル。今後については熟考する構えだが、日本陸上界の歴史に刻まれる好レースとなった。













