認知症を公表した歌手・橋幸夫(82)が病院で寝たきり生活を送っていることが分かった。所属事務所「夢グループ」の石田重廣社長が1日、都内で開催したトークショー中に「どうしてあっという間にこんな状況になったのか僕には理解できません。でも橋さんは生きてます。そして脳以外はすごい元気です」などと現状を明かした。

 5月にアルツハイマー型認知症を公表後もステージに立っていた橋は、同月31日に救急搬送され「一過性脳虚血発作」と診断され入院。翌6月8日に退院し、その3日後には滋賀でステージ復帰した。ただその時も、ほとんど会話ができず、水も飲み込めず、よだれを垂れ流す状況だったという。

 その翌々日に入院し「3日後には、僕の名前も忘れたということを言われました」。石田社長は病院へ行き、対面した橋について明かした。

「大きなイビキをしてずっと寝てます。そのイビキも普通のイビキじゃありません。すごい大きなイビキなんです。そして顔ももう橋幸夫さんの顔じゃないんです。〝どうしちゃったのかな橋さん〟と…」。意思の疎通ができず、どう対処していいか分からず、石田社長は病室から逃げ出したくなったという。

 当時はちょうど「夢グループ20周年記念コンサート」の真っ最中。石田社長は橋の不在について「これだけの暑さのため体調が厳しいがために、東京から地方に行かせることはできないと病院の先生からNGが出ているから無理なんです」と、観客にウソをついていたという。「でも現実というものは、僕の顔を忘れる、言葉も忘れる、ずっと寝てます」

 1週間前、橋の奥さんから「社長の名前を言うと、目を開けたり反応するんですよ」と連絡をもらった。見舞いに行き「橋さん」と声を掛けると、確かに目を開けたという。「それまでは、その前も前々回もうっすら目を開けただけだった」そうで、石田社長は病室に約90分間いた。

 その間、「歌えなくてもコンサートに来てほしいよ」「僕の顔も忘れたのか」などとずっとしゃべりまくり、橋の手も握った。「早く立ち上がりなよ」などと失礼なことをいっぱい言っていたら、そんな石田社長の手を橋はパチっと振り払ったという。

「そして橋さんは僕の顔を90分間にらみつけるように見て、口で何かを話し掛けたいんです。モグモグ言ってるわけです。とにかく一言でもいいから、『あ~』でもいいから『い~』でもいいから言ってくれよ、そうすれば一歩前進できるぞという今、新しい希望があります」。石田社長は厳しい橋の現状の中に見えた〝光〟を明かした。