◇植田太一(35)福岡支部109期

 6月19日、住之江でキャリア初優勝を達成。デビューから足かけ14年、通算24回目の優出でようやく味わった美酒だった。

「ホっとしたというのが一番ですね。これだけ優出していたのに、いつになったらできるのか、本当にできるのかって。ああ、これで選手としてやっていけるかなという安心感がありました」

 優勝戦の1号艇は準完全Vに王手をかけていた地元の上條暢嵩。しかも「ノブはめちゃめちゃ出ていた。特訓でも一人だけ出ていっていた」という節一パワー。しかし3コースからの全速ツケマイが炸裂。上條を引き波に沈めてみせた。

「2コースがF持ちだったので中ヘコミならまくり差しでしたけどね。自分もスタートは放っていたので、あれしかなかった。回り足には自信があったのと、何よりいつも通りに自分のターンができたことが良かった」

 博多や若松で何度となく見せてきた奇数枠からの全速戦。以前からターンスピードは福岡支部でも屈指の存在だったが、なかなか結果に結びつかなかったのには理由がある。レーステクやエンジン出し以前に体重というハンディーがあった。

「正直、仕事選びを間違ったと思ってますよ(笑い)。家に帰るとすぐ60キロを超えてしまう。前検日は朝から食事を抜いて59キロ。住之江では最終日(6日目)に56キロまで減らしたけど、それがギリギリ。後輩と風呂に入っていても〝どこ絞るんですか〟って言われます。体脂肪率も7%とかなので…」

 一時はB級落ちとなっていたが2025年前期からA級に復帰。今年は6か月で4優出と早くも昨年に並んでおり、勝率もキャリアベストの水準で推移している。スランプ脱出の一助となったのは、同じく〝ヘビー級〟の先輩からのアドバイスだった。

「海野(康志郎)さんから言われたんです。〝ハンドルを固くしてみろ〟って。それまで峰(竜太)さんのようにゆるい状態でずっと走っていたんですけどね。これでペラの引き出しが増えて、調整の幅が広がった自分にとって大事なのは伸びを持たせつつ、いかにターンで勝負できる足にするかなので」

 キャリア14年目にしてようやく迎えた充実期。しかし苦労人らしく焦りはない。「2人目の子どもが生まれたばかり。まずは事故なく帰ること。あとはやっぱり最低体重が上がってほしい。だって日本人の体形は大きくなってるじゃないですか(笑い)」

 ターンでどこまで勝負できるか。2回目のV、そして自身初のA1昇格へ向けて追求が続く。