選挙特番戦線に異常アリだ。参院選(20日投開票)で民放キー局は選挙特番を放送する。MCやコメンテーターらと各党幹部、候補者が中継をつなぎ、時には舌戦を繰り広げるのが恒例だが、今回は池上彰氏の番組卒業や山本太郎代表率いるれいわ新選組が「生出演NO」を通告するなど状況が様変わりしている。
選挙特番といえば、池上氏の独壇場だった。テレビ東京で、タブーなき質問を連発することで〝池上無双〟とも呼ばれたが、昨年の衆院選では、米大統領取材のためにスタジオ不在だった。視聴率は激減し、参院選での復活を期待されていたが、選挙特番の出演者ラインアップに見当たらない。
テレ東は「池上さんご本人より『長年、選挙報道に関わり自分としては〝卒業〟した気持ちであり、今後は後進に譲りたい』という趣旨の話がありました。池上さんからいただいたさまざまな知見を生かしながら、テレビ東京の新しい形の選挙報道を心がけていきます」と説明。田中瞳アナ、豊島晋作キャスター、クイズ王の伊沢拓司が特別キャスターを務める「選挙サテライト2025」を2部構成で放送する。経済メディア「テレ東BIZ」では通しでの配信で、〝池上イズム〟を引き継ぐという。
その池上氏は選挙特番から卒業しただけで、開票日翌日の「WBS(ワールドビジネスサテライト)」では、結果を受けての生解説を行う予定だ。
TBSは「選挙の日2025」で、爆笑問題の太田光が選挙特番では4回連続となる特別キャスターを務める。過去には自民党の二階俊博氏に「いつまで政治家続けるんですか?」とぶっ放し、お茶の間を凍り付かせた。今回は各党トップと事前にインタビュー取材を行い、ウオーミングアップは済んでいる。
「視聴者の方が、見ていてわかりやすく、なおかつ面白いと思える番組にしたい」と意気込み、生中継では暴走トークが繰り広げられるのは必至。総合司会の井上貴博アナ、キャスターに出水麻衣アナ、さらに「ゴゴスマ」の石井亮次アナが特別司会で、どこまで太田を制御できるか。
辛口コメンテーターを揃えたのはフジテレビの「Live選挙サンデー 超速報」だ。司会は宮根誠司と宮司愛海両アナが務め、元大阪府知事の橋下徹氏と元衆院議員の金子恵美氏をゲストに招く。両氏の歯に衣着せぬ直球が飛び出すことになりそうで、特に橋下氏と因縁がある作家で、日本保守党の百田尚樹代表との直接対決が実現するかが注目される。
テレビ朝日は昨年の衆院選に続き、「報道ステーション」と「有働Times」を連動させる「選挙ステーション2025」で4時間通しの放送を予定している。大越健介キャスター、大下容子アナ、有働由美子らベテランアナがそろい踏みし、堅実路線を歩む。
まさかのドラマとの〝連動〟を想起させるのは日本テレビの「zero選挙2025」。昨年の衆院選に引き続き、藤井貴彦アナと櫻井翔のダブルMCがスタンバイ。櫻井は12日から放送されている同局のドラマ「放送局占拠」で主演を務め、占拠シリーズ第3弾は、都知事選の選挙特番を放送中のテレビ局が妖怪の面をかぶった武装集団に占拠されるストーリー。開票速報では櫻井がリアルのスタジオから妖怪顔負けの老獪な政治家にどう立ち回るかが見ものとなる。
昨年の都知事選では石丸伸二氏が元乃木坂46の山崎怜奈や社会学者の古市憲寿氏らへの塩対応で物議を醸し、選挙特番のあり方にも疑問の声が出ていた中、〝ボイコット〟する政党も現れた。れいわは開票日に開票センターを設置しないことで、選挙特番への対応を行わないことを発表した。
過去には橋下徹氏から毎回、ケンカ腰で迫られた山本代表が不快感を示していた。大石晃子共同代表は選挙特番をパスする理由について、党のYouTubeで「選挙に関係ない嫌がらせや攻撃的なことや些末なこと、事実誤認のレッテル張りみたいなことをされる。選挙が終わって、もう票は増えないので、そこにライフ(体力)を残すよりは全部使い切って、選挙スケジュールを立てる方が合理的」と選挙戦に全力を尽くしたいと明かしている。
ハプニング要素となる山本氏が不在となるものの、自公の過半数割れ事態や参政党の躍進など波乱が予想される。池上氏に代わる新たな無双の使い手は誰になるのか――。












