熊本出身のHKT48・森崎冴彩(もりさき・さあや=20)が「記者」となって故郷の誇り・熊本城を取材した。築城から400年以上の歴史を持ち、2016年の震災でも多くの被害を受けた名城は今、どう復活を遂げようとしているのか。森崎が熊本城調査研究センター・岩佐康弘所長に、加藤清正の人物像から復旧の裏側、さらには城の〝心の声〟までを聞いた。
森崎 熊本城には400年以上もの長い歴史がある中で、誇りに思うエピソードは。
岩佐所長 1599年に加藤清正が築城を始めたことが熊本城の起点。どれほどの決意でこの地に城を築いたのかを考えると、本当にすごい決断だったと思う。城を造るだけでなく、町の基盤を築いた点が非常に誇りです。
森崎 加藤清正という人物がもし現代にいたら、どんな人物だったと思いますか。
岩佐所長 武将というイメージがあり質実剛健。非常にリーダーシップがあり、部下をしっかりまとめる力のある人物。
森崎 職業で言えば何ですか。
岩佐所長 現代なら建設現場の監督や行政のリーダー。会社の社長やあるいは政治家など多方面で活躍していたのでは。
森崎 2016年の熊本地震直後、城にどのような影響があった。
岩佐所長 石垣が崩れ、やぐらや建物も損傷。特に奇跡の一本石垣が注目されましたが、その後の余震でも耐えた姿に感動しました。
森崎 その熊本地震からの復旧・復興の現状と、今伝えたいメッセージは。
岩佐所長 復旧にはまだ20年かかる見込みですが、着実に前進しています。完成した部分だけでなく、工事中の部分も含めて、熊本城の今を見てほしい。
森崎 石垣や建物の修復を間近で見て感じた熊本城が〝ただの建物ではない〟と感じた瞬間は。
岩佐所長 石垣の修復には職人の技や思いが詰まっています。裏方の測量や調査、設計といった目に見えない努力も熊本城を支えています。
森崎 昔の方々の愛を感じますね。
岩佐所長 やっぱり愛情ないとできない。「殿様のためにいい城をつくるんだ」ってね(笑い)。
森崎 熊本城の歴史や震災の記憶を次世代に伝える上で、どのような工夫をされていますか。
岩佐所長 映像やデジタルアーカイブを活用し、ユーチューブなどでも情報発信をしています。震災の記憶を風化させず、未来に伝えることを大切にしています。
森崎 熊本城の写真映えスポットやおすすめの見学アングルを教えてください。
岩佐所長 加藤清正とその息子・忠広の時代に築かれた2つの石垣と、その奥に天守閣が見える場所ですね。特別見学通路は高台から天守閣を眺められるルート。将来的には撤去予定なので、この景観は今だけの特別な体験ができる。他にも修理中のやぐらや、土壁の製作現場など、工事の〝今〟が見られるのも魅力です。
森崎 もし熊本城がしゃべれるとしたら、私たちにどんな言葉をかけてくれると思いますか。
岩佐所長 「頑張れよ、しっかり見ているぞ」と言ってくれるでしょうね。自分の傷より、周囲を気遣うような、そんな存在だと思います。
森崎 熊本城で、特に好きな時間帯や風景は。
岩佐所長 朝焼けや夕日に照らされる姿は美しいですが、夜間開園でのライトアップも幻想的。昨年の「雲上の城 熊本城」は特に印象深かったです。
森崎 熊本城付近で不思議体験をしたことは。
岩佐所長 熊本博物館の隣にある細川刑部邸(休園中)は〝出る〟らしいです(笑い)。地震前の夜、作業していたら何か〝気配〟を感じたという話を聞きますし…。
森崎 小学生とかが聞いたら肝試しとかしたくなるような話ですね。
岩佐所長 不思議なといえば、石垣を解体している中で、瓦の破片やガラス瓶などが出てくることがある。昔の修理時のゴミで、実はそれが修復年代の重要な手がかりになるんです。
森崎 もしタイムスリップして加藤清正公に会えるならどんなことを質問してみたいですか。
岩佐所長 優秀な人材をどうやって集め、活用したのかを聞きたいですね。短期間で大事業を成し遂げたその采配、人を動かす力は、現代にも生かせるヒントがあるはず。
森崎 熊本城があって良かったと感じるのはどんな時。
岩佐所長 街を歩いていてふと見上げた時に城が見えると、見守られているような感覚になります。熊本にとっての精神的支柱だと感じます。
森崎 若い世代に熊本城を通してどんなことを伝えたい。
岩佐所長 歴史に興味を持ってもらい、自分のルーツや地域の魅力をきっかけにしてほしい。体験型の学びや展示も取り入れて入り口を広げています。
森崎 熊本の人の魅力をひと言で表すと? 私は穏やかだけど芯がある人が多いと思う。
岩佐所長 まさにそれです。水がきれいで自然が豊かな土地柄も心の清らかさにも通じているのかも。加藤清正が熊本で開田事業を進めて地下水をつくるシステムを担った一人なんです。
森崎 最後に熊本城と熊本の未来への夢や目標をお願いします。
岩佐所長 目標は、震災前の姿を取り戻すこと。そして夢は、より多くの人でにぎわい自由に楽しんでもらえる熊本城を実現すること。未来へつながる城にしたいです。(構成・霞上誠次)












