元タレントの中居正広氏の女性トラブルに端を発したフジテレビの一連の問題は、6月に行われる株主総会で一つの転機を迎える。その中で、これまであまり報じられていない、〝隠れたキーマン〟がいることを知っているだろうか。

 それは元ゴールドマンサックス証券の田中渓氏だ。

 親会社フジ・メディア・ホールディングス(FMH)の大株主である米投資ファンド「ダルトン・インベストメンツ」が4月16日、独自に選んだ取締役12人を発表した。

 その候補者たちは以下の通りだ。

 北尾吉孝氏(SBIホールディングス会長謙社長)、ジェームズ・ローゼンワルド氏(ダルトン共同創業者)、西田真澄氏(ダルトンのパートナー)、田中氏、菊岡稔氏(前ジャパンディスプレイ社長)、岡村宏太郎氏(サッポロHD社外取締役)、福田淳氏(STARTO ENTERTAINMENT最高経営責任者)、坂野尚子氏(元フジアナウンサー)、堤伸輔氏(新潮社「フォーサイト」元編集長)、北谷賢司氏(DAZN Japan Investmentチェアマン)、近藤太香巳氏(ネクシーズグループ社長)、松島恵美氏(弁護士)。

 ダルトン系や金融系、財界系、メディア系が名を連ねていることがわかる。そして田中氏も金融系…と思いきや、じつはバリバリの不動産系なのだ。金融関係者が言う。

「田中氏はあの星野リゾートを再建させた不動産投資のやり手として知られています。ゴールドマン時代は数千億円を動かしていました。平日は会社で寝袋で寝て、ほぼ帰宅しないで仕事に没頭していたこともある。3年いるのがやっと言われる過酷な同社で17年間も在籍。昨年退職したのですが、社内外への影響が大きいためブルームバーグが報じたほどです」

 1982年生まれの田中氏は上智大学理工学部物理学科を首席で卒業。2007年にゴールドマンに入社した後、投資部門の日本統括としてらつ腕を振るった。

「すでにユーチューブの動画などでも紹介されていますが、365日、毎日午前3時45分に起床し、20キロ走ることを日課にしている〝超人〟です。夜は基本的に午後9時とか10時には寝るそうですが、さまざまな予定が入り、睡眠時間が削られることも当然ある。それでもトレーニングは1日も欠かさない。正月でさえもです」(同)

 ゴールドマンを退社後、現在は中国アリババ・グループ・ホールディングの創業者ジャック・マー氏率いるプライベート・エクイティ・ファンド「ユンファン・キャピタル」でやはり数千億円規模の不動産投資を手掛けているという。

 ダルトンがFMHに対し、不動産事業とメディア事業の分離を提案する書簡をフジ側に送っているが、その不動産事業ににらみを利かせる役として田中氏に白羽の矢を立てた。その意味するところとは何なのか。フジ関係者の話。

「これまで不動産事業は安定的に収益を上げているため、メディア事業から分離されると『テレビだけで採算がとれるのか』と心配する声が上がりました。それもそうなんですが、ダルトンはフジの不動産もまだまだ運用益を出せると見込んでいる。フジ社屋がある台場の土地を売るという選択肢もあるそうです。ようは、田中氏を送り込むのは『もっと不動産でも利益を出せ』ということ。FMHは厳しく詰められるはずです」

 もちろん、ダルトン側の要求が通るかどうかはわからない。現在、村上世彰氏の旧村上ファンド系投資会社がFMHの株を買い増しているほか、北尾氏率いるSBIホールディングス傘下のファンドも同様に買い増しており、三つ巴の戦いとなっている。

「今、水面下でどことどこが手を結ぶか探り合っているようです」(同)

 フジの命運がかかる6月の株主総会は、いったいどうなるのだろうか。