歌手の堀ちえみ(56)が、ネット上で自身を誹謗中傷した30代男性を民事提訴していたことが複数の関係者への取材で分かった。堀側も認めた。この男性は堀を誹謗中傷して2月、執行猶予判決を言い渡されたが、堀は刑事だけでなく民事でも追及していた形だ。

 堀が誹謗中傷に苦しめられている。

 2019年2月、ステージ4の舌がんを公表。同月中に舌の6割を切除する手術を受けたが、堀を誹謗中傷したとして同年に北海道の50代女性が、21年に奈良の40代女性がそれぞれ書類送検される刑事事件が起きた。

 21年6月には千葉の30代男性A氏がネット掲示板に「ご冥福をお祈りします」など4本の文章を書き、堀の〝死去〟を示す白黒写真も添えた。

 堀は警察に被害届を提出し、刑事事件に発展。A氏は今年2月、東京地裁に侮辱罪、脅迫罪で懲役1年6月、執行猶予4年の有罪判決を言い渡されていた。

 それだけにとどまらない。堀は7月、A氏を相手取り、慰謝料など550万円を求めて東京地裁に民事提訴していたことが分かった。

 知人の話。

「堀さんは自身に対してだけではなく社会全体でやまない誹謗中傷に怒りを持っている。これらを少しでも減らそうとA氏を民事提訴したんです」

 訴訟自体はスピード解決した。堀の代理人弁護士は取材に「和解による解決ができました」と明かした。

 地裁の勧告で(1)A氏は堀に和解金として120万円を支払う、(2)A氏は今後、誹謗中傷しない――などの条項を確認して9月、堀、A氏の双方が和解したことも関係者への取材で判明した。

 誹謗中傷は許されない。東京地検の調書によれば、A氏は、堀のブログをチェックして堀が術後も通常通り生活していると感じ、舌がんは深刻ではなかったのではと疑念を抱いたと供述。堀に八つ当たりし、ネット掲示板に前記4本の文章を投稿した。

 前出弁護士は「従来の民事訴訟の枠組みで、加害者に対する損害賠償など責任追及をすることは時間もコストもかかります。有名人の場合、インターネット上での被害に対し、インターネット上で反論や対抗措置をしにくいという現実もあります」と指摘。

 その上で「被害者が立場にかかわらず救済される制度や法的枠組みが必要だと実感します」と語った。堀は自身の事件に限らず、二度と誹謗中傷しないよう加害者へのフォローアップ体制が整備されることを望んでいるという。