ボートレース尼崎のGⅡ「第5回全国ボートレース甲子園」(優勝賞金470万円)は9日、12Rで優勝戦が行われた。レースは4コースカドからコンマ06のトップスタートを決めた高知県代表の片岡雅裕(37=香川)が内を叩いて出る。これに対しイン・関が先マイ敢行も、片岡がその内を鋭くまくり差すと2Mでは内を突いた中村晃朋を包んでかわし独走。通算29回目の優勝は2017年びわこGⅠ65周年記念、2022年浜名湖SGメモリアルに続く3回目の特別タイトル制覇となった。

 内に陣取るのはパワートップクラスの関、足はともかくテクは完璧な池田浩二、準優12Rで石丸海渡(予選首位通過)を撃破した中島孝平という強力布陣。そして右隣の5コースには桐生順平が構え、虎視眈々と展開が開くのを狙っている。メンタルが弱い選手なら縮みあがってもおかしくないが、何事にも動じないプレッシャー知らずの片岡は冷静だった。

「思い通りの位置から起こせたし、スタートも全速。勝つならこれしかないな、と思っていました。どこかを差せればと…。仕上がりは外寄りの方がしっかり走れそうな体感だったんで、4号艇で良かったです」

 相手が誰であれ、勝てる調整と勝てる戦法を選択してレースに全てをぶつける片岡らしさ全開の会心のレース。中学、高校と「ショート、セカンドをやっていて打順は1、2番でした」と言うだけに、フットワークの軽さや機敏な動きは野球で培われたのだろう。機動力野球ならぬ〝機動力ボート〟を実践したのだ。

 昨年8月に浜名湖メモリアルを優勝して目標だったSGタイトルを手に入れると、燃え尽き症候群のような状態に陥った時期もあった。ただ、現在は「6月ぐらいから自分の中で盛り上がってきています。SGとかを意識せずに、やるべきことをやって行こうと…」と、リズムを取り戻しつつあるという。

「地元(高知県)は海がすごいきれいなんで、サーフィンをされる方は一緒に行きましょう!」

 表彰式の舞台上からファンに呼びかけた晴れやかな表情は、片岡のレースもこれから夏に向けて〝波に乗る〟ことを予感させた。