大相撲春場所7日目(18日、大阪府立体育会館)、大関貴景勝(26=常盤山)が日本相撲協会に「左ヒザ内側半月板損傷」の診断書を提出して休場した。横綱昇進の条件となる優勝を目指した中、3日目に左ヒザを負傷。6日目に3敗目を喫した相撲で、患部を悪化させた。再出場はせず、治療に専念する。これにより、5月の夏場所(東京・両国国技館)はカド番で迎えることが確定。綱とりは完全に白紙となった。

 今場所は横綱照ノ富士(31=伊勢ヶ浜)も初日から休場しており、横綱大関の不在は昭和以降で初の異常事態。日本相撲協会の幹部にも危機感が広がっている。

 芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「残念。いい相撲を取っている力士もいるけど、横綱、大関がいなくなったから。(興行的にも)今までにない状況。照ノ富士も貴景勝もケガとはいえ、ともに番付上1人ずつ。とても厳しい」と強く懸念。「貴景勝だけに大きな期待を求めるのでなく、周囲がもっと頑張らないといけない。関脇以下がもっと盛り上げていかないと」と出場力士に奮起を促した。

 八角理事長(元横綱北勝海)は「100人いる親方衆が頑張って横綱大関を育てていかないといけない。(巡業などで)皆で育てるということ。どこの親方衆でも、力士にアドバイスはできる」と力説。一門や部屋の垣根を越えて、親方衆全員が積極的に指導していく必要性を訴えた。

 昨年は御嶽海(30=出羽海)と正代(31=時津風)が相次いで大関から陥落。三役では関脇豊昇龍(23=立浪)や関脇霧馬山(26=陸奥)らが力をつけてきているとはいえ、まだ突き抜ける存在にまでは至っていない。貴景勝の休場で、改めて土俵の現状と課題が浮き彫りとなった格好だ。