アマチュア将棋の強豪・小山怜央氏(29)が13日、大阪市の関西将棋会館で指されたプロ棋士編入試験5番勝負の第4局で横山友紀四段と対局し、133手で勝利。試験成績を3勝1敗とし、棋士養成機関「奨励会」を経ない初のプロ棋士になった。また、編入試験に合格しプロ棋士となったのも、現行制度では2015年の今泉健司五段(49)、20年の折田翔吾五段(33)に続く3人目の快挙だ。そんな小山アマを今泉五段が祝福した。

 小山アマは中盤、かなり優位に進めていたが、終盤に悪手が出てピンチに。それでも、見事に立て直してプロ棋士への道を切り開き、「ホッとしています。前回負けて流れは悪かったが、なんとか踏みとどまることができたのは上出来な結果だと思う」と喜んだ。

 岩手県釜石市出身の小山アマは、全日本アマ名人戦優勝、全国アマ王将位大会優勝などの実績を持つ。小山アマのプロ入りで岩手県初のプロ棋士が誕生する。

 自身も3勝1敗で編入試験を突破した経験を持つ今泉五段は「試験官は負けても失うものがないが、小山君はここで負ければ後がない怖さがあるので、2勝2敗にはしたくなかったはず。一局の重さが違う」と小山アマがここで合格を決めたかっただろうと指摘した。

 その上で、対局について「もっと早く終わってもおかしくなかったですけど、小山君がこの編入試験を通して初めて誰が見ても悪い手を指した。はっきり“勝ち”と思うプレッシャーがそういう手になったんだと思う。人間らしいというか、かなり冷や汗をかいたと思います。でも、ちょっと難しくなってからがすばらしかった。心の葛藤はかなりのものだったと思いますが、よくしのぎましたね。おめでとうございます」とたたえた。

 4月1日付で晴れてプロ棋士となるが、これまでもアマチュアの強豪として、プロ棋士との対局は多かった。今泉五段も「踏み込みの強さが印象的で、多くの若手棋士同様、ソフトでしっかり研究もしている。もともと実力はプロと変わらないので、プロ入りしたからといって変わるところはないですね。奨励会も入ろうと思えば入れたと思う」と実力を評する。

 むしろ、今泉五段は「将棋の強さもさることながら、小山怜央でしかできない将棋に対するアプローチに興味がありますね」と小山アマがプロ棋士となって、“何ができるか?”に注目しているという。

 今後、編入試験合格者同士でイベントに参加する機会が増える可能性もあり、今泉五段は「その時は楽しくやりましょう。将棋界を一緒に盛り上げていけたらいいですね」と語った。