1970年代のニューヨーク・パンクロック創成期にカリスマ的存在として多くのミュージシャンに影響を与えたバンド、テレヴィジョンのギタリスト兼ボーカリストでフロントマンのトム・ヴァーレインさんが28日(日本時間29日)に米ニューヨーク市内で亡くなった。73歳だった。死因などは明らかにされていない。ニューヨーク・タイムズが報じた。

 ヴァーレインさんは72年からネオン・ボーイズで音楽活動を開始。同年にテレビジョンを結成し、77年の1stアルバム「マーキー・ムーン」でデビュー。文学的な歌詞と官能的な独特のギターで、評論家やミュージシャンから大絶賛された。ヴァーレインさんはカリスマ的存在となり、同アルバムは現在でもニューヨークパンク史上最高の名盤との評価を受けている。
 
 78年に「アドヴェンチャー」を発表した後に「満月の夜にバンドの解散を決めた」との名言を残して解散。以降はソロ活動を続けていた。故デビッド・ボウイさん、パティ・スミス、ソニック・ユースら大物ミュージシャンとも交流が深く、ボウイさんはヴァーレインさんのソロ1stアルバムに収録された「キングダム・カム」をカバーしている。
 
 多くのミュージシャンが訃報に際して追悼の言葉を送っており、人気ポスト・パンクバンド、モグワイのフロントマンであるスチュアート・ブレイスウェイトはツイッターで「私たちの文化における彼の役割と、エレクトリック・ギターでの真っすぐな素晴らしさは完全に伝説的でした。(表題曲の)『マーキー・ムーン』に匹敵する10分間の音楽を挙げてください。できません。それは完璧だ。安らかに眠ってください」と哀悼の意を表している。