【ニュースシネマパラダイス】どうも! 有村昆です。19日にウェストミンスター寺院で英国のエリザベス女王の国葬が執り行われました。事前の一般弔問客は25万人と言われ、荘厳な葬儀の模様は全世界に中継され、多くの人が女王を見送りました。

 今回は、お葬式をテーマに死者を送り出すということはどういうことなのかを考えてみたいと思います。紹介するのは照屋年之監督の「洗骨」(2019年公開)です。照屋監督を知らない方もいると思いますが、実は皆さんもおなじみの方です。お笑いコンビ「ガレッジセール」のゴリさんなんです。

 ゴリさんが沖縄・粟国島の風習である洗骨から着想し、バラバラになった家族の再生の物語です。洗骨とは、風葬し白骨化した死者の骨を親族で洗う儀式のことです。風葬は死者を埋葬せずに外気にさらし葬る方法で、親族の白骨化した残酷な姿を見なければならない。想像するだけでもいたたまれないですよね。なぜ、そんな思いをしなければならないのでしょうか。

 物語は、ある家族の母親の死から始まります。母親の死後、奥田瑛二さん演じる父親は飲んだくれになり、筒井道隆さん演じる息子は妻と離婚、水崎綾女さん演じる娘は未婚のまま妊娠とそれぞれに問題を抱えています。3人の関係もギクシャクしてるんですが、母親の洗骨のために久々に家族が顔を合わせることになります。

 エリザベス女王の国葬でも王室を離脱したヘンリー王子とメーガン妃が参列し久々に家族が顔を合わせることにもなりましたよね。葬式って結婚式より欠席しづらくないですか。いろいろな思いがあっても死者を弔うことを優先させる。ヘンリー王子との関係が今後どうなるかわかりませんが、何かのきっかけになるかもしれません。

 映画では白骨化した母親の姿を見るシーンは残酷でありますが、洗骨という行為によって変化する心情をうまく描写しています。家族全員で骨を洗うことで「ありがとう」という感謝の気持ちを磨くということにつながっていくんですね。

 洗骨というシリアスなテーマなんですが、ゴリさんが監督とあってお笑いの要素が随所にちりばめられてます。映画に漫才の要素を落とし込んでいてリズムもよくフリとオチを回収してくれます。本当に笑って泣ける素晴らしい映画ですので、ぜひご覧下さい!

 ☆ありむら・こん 1976年7月2日生まれ。マレーシア出身。玉川大学文学部芸術学科卒業。ローカル局のラジオDJからキャリアをスタートさせ、その後映画コメンテーターとしてテレビ番組やイベントに引っ張りだこに。最新作からB級映画まで年間500本の作品を鑑賞。ユーチューブチャンネル「有村昆のシネマラボ」で紹介している。