覚醒剤取締法違反(使用、所持)などの罪に問われ、先月20日に名古屋地裁で懲役1年8月、執行猶予3年の判決を受けたアイドルグループ「KAT―TUN」の元メンバー田中聖被告(36)の弁護側は5日までに、判決を不服として控訴した。控訴は4日付。

 田中容疑者は判決から9日後の先月29日、JR柏駅西口付近で覚醒剤取締法違反(所持)の疑いで現行犯逮捕された。調べに「持っていたことに間違いはありません」と容疑を認めているという。

 それだけに、今回の控訴には「一体ナゼ?」という疑問もわいてくる。ネット上では「往生際が悪い」と心証は最悪だ。法曹関係者は控訴の意図をどう読み解くのか。

 弁護士法人至道法律事務所の岡筋泰之弁護士は「原判決を控訴して、かつ最高裁まで伸ばして争い、その間に新事件(先月29日に逮捕された件)について判決まで進めたいのだと思います」とみる。

 原判決を控訴しても、新事件は新事件として粛々と裁判が進むが、その際、執行猶予付き判決を受けた前科がある前提で判断することはできないのだという。そのため、現行犯逮捕を受け、弁護士の間でも控訴するかどうかが注目を集めていたという。

「控訴せずに確定した後に事件で逮捕されて有罪判決を受けると、皆さんが想像しているように、執行猶予期間中にまたやったと非常に悪質です。そして、執行猶予期間中に犯罪を犯したので実刑になり、執行猶予になった前回の懲役分も合わせて加算という形になります。しかし、控訴で確定していない間に新しい罪の裁判を進めると、併合罪として通常よりは重く処罰することはできるものの、執行猶予付き判決を受けた前科がある前提で判断することはできないのです」(同)。

 つまり、今回の控訴は新事件で執行猶予付き判決、いわゆる前科付きと判決と認定されないために控訴していると捕らえられてもおかしくないわけだ。

 岡筋弁護士は「判決を受けて一定期間を置いて犯罪を行なった時と比較して、判決を受けた直後に犯罪を行った方が軽くなる、という結果はいかにも不合理です。併合罪での処理を通じて、実刑になるのではないか」と話した。