【ニュースシネマパラダイス】 どうも! 有村昆です。新型コロナの融資制度を悪用し、約6000万円をだまし取ったとして大阪府寝屋川市議の吉羽美華容疑者ら男女5人が逮捕されました。同様の手口で福祉施設など合わせて10数億円をだまし取ったという報道もあるから驚きです。今後、事実関係は明らかになると思いますが、これだけの巨額の詐欺事件が起きてしまった背景には何があるんでしょうか。

「なんでだまされるんだろう」と思うんだけど詐欺事件ってなくならない。だます人がいて、不思議なものでだまされる人がいる。今回は、なぜ人がだまされてしまうのかを鋭く描いた堺雅人主演映画「クヒオ大佐」を取り上げたいと思います。

 クヒオ大佐はアメリカ空軍のパイロットでカメハメハ大王やエリザベス女王の親戚と名乗り複数の交際女性に結婚話を持ちかけて1億円だまし取った実在の結婚詐欺師です。「ジョナサン・エリザベス・クヒオ大佐」と自称しているんですが、日本人なんですよ。1970年代から90年代にかけて詐欺を行い、10回ぐらい捕まってます。最後に捕まった時も年齢は37歳と言ってるんですけど57歳ぐらいなんですよ。いつも経歴書を持ち歩いてて、その経歴も6歳でワシントン大学を卒業とか。いやいや6歳ですよ! それでもだまされちゃう。

 クヒオ大佐には不思議な詐欺師のカリスマ術があるんです。それが自分の経歴や職業マウンティングを取るのが非常にうまいんです。吉羽容疑者も「自分たちに融資金の半額を支払えば特別な融資が受けられ返済不要になる」といった説明をしていたようですが、現役市議が言うと「そうかな?」って思ってしまったのかもしれません。職業マウンティングを取られ、コロナによる不安感や何かよりどころを見つけたいからコロッとだまされてしまうんでしょうか。

 被害者心理も働きます。「怪しいよ」と言われても自分の決断の間違いを認めたくないから、かたくなになってしまうんです。助言してくれた人を攻撃したり結果的に、より詐欺師に依存してしまうシーンも描かれています。

 僕もこういう仕事をしているのでいろいろな方とお会いします。その中で「この人の名刺の肩書よく分かんないな」ということもあるので気を付けるようにしています。 コメディー映画でもあるので、はなから見てるぶんには滑稽なんですよね。笑いながらも「これってアノ人かもしれない」と思って見ていただきたいと思います。

 ☆ありむら・こん 1976年7月2日生まれ。マレーシア出身。玉川大学文学部芸術学科卒業。ローカル局のラジオDJからキャリアをスタートさせ、その後映画コメンテーターとしてテレビ番組やイベントに引っ張りだこに。最新作からB級映画まで年間500本の作品を鑑賞。ユーチューブチャンネル「有村昆のシネマラボ」で紹介している。