【アツいアジアから旬ネタ直送 亜細亜スポーツ】カンボジアで洪水被害が深刻だ。集中豪雨により、首都プノンペンはじめ、全国各地で浸水が激しさを増している。大手メディア「プノンペン・ポスト」によれば、これまで27万人以上が家を失い、田畑4万ヘクタール以上が水没。死者も確認されただけで20人以上出ている。今後も台風の接近が予想され、予断を許さない。
そんな中、懸念されているのがワニの大脱走だ。地元紙「クメール・タイムズ」によると、南部カンダール州など各地でワニ養殖場が被災、洪水で破壊された池からワニが逃げ出し、周辺住民はパニックに。なんとか捕獲に成功したが、大雨による増水が続き、水位が防護フェンスを上回ると、ワニの“放流”は続出する恐れがあるという。
プノンペン南部の養殖場で脱走したワニはまだ捕まっていない。経営者はウェブメディア「カンポン・ニュース」の取材に「ワニは人を警戒するため、近寄ってくることは少ないので、あまり心配しないように」とずいぶんお気楽発言だが…。
他にも多数の養殖ワニが水浸しの市街地に出没中とみられる。SNSには、迷いワニの画像や動画が続々とアップされている。
中でもSNSで拡散しているのが、水に漬かった眼鏡店の軒下で、バイクにもたれかかり雨宿りしている上半身裸の青年3人組の画像。目の前に大きなワニが2匹いて、1匹は口を開けているのに、青年たちはのんきに笑っているではないか。SNSでは「たくましい」「合成じゃないのか?」と話題を呼んでいる。
実はカンボジアはワニの一大生産国。プノンペン在住日本人が解説する。
「ワニ革はバッグや財布、ベルトなど革製品として人気で、輸出されている。養殖ワニの子を隣国タイやベトナムに卸したりもしている。そうした養殖場を観光客に公開しているところも多い。世界遺産アンコールワットのそばにも大規模なクロコダイルファームがいくつかあり、新型コロナウイルス禍の前は、訪れる日本人観光客も多かった。また食用にされるワニもいる」
カンボジア全土に700ほどの養殖場があり、50万匹が飼育されているとみられる。ただ、そのうちかなりの部分は家族で営む小規模経営で、洪水対策の資金にも乏しいという。 (室橋裕和)
☆…むろはし・ひろかず 1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め、2014年に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。最新著書は「バンコクドリーム『Gダイアリー』編集部青春記」(イースト・プレス)。












