【ダイアモンド・ユカイの昭和ロックを語る時が来た!(最終回)】昭和の終わりごろ、日本のロックに大きなムーブメントを巻き起こしたバンド「レッド・ウォーリアーズ」のボーカル、ダイアモンド・ユカイ(55)がゲストを招いて語り合う…。伝説のバンド「BOOWY」のドラマー、高橋まこと(63)を迎えての最終回は、豪雨のロックフェス、さらにBOOWYとビートルズのライブについてだ。
F記者:豪雨の中で開催された伝説の野外ロックフェス「ビートチャイルド」(1987年、熊本)、楽屋周辺が大変な状態だったそうですが…。
高橋:お客さんが雨から避難するような場所がなくてさ。暴風雨でビショ濡れな上に山の上で寒くて、倒れる人が続出。楽屋の廊下に100人ぐらい寝てたよ。他に運び込む場所がなかったんだろうね。
ユカイ:今なら大問題になっていたと思うくらいの状況だった。ユースケ・サンタマリアも見に行って、倒れて運ばれたって言ってたよ。BOOWYが出演した時はものすごい雨だったから演奏大変だったでしょ?
高橋:ドラムセットの上にテント張ってくれたんだけど、俺は2バスだから2つ張ったわけ。そしたら間から雨がボコボコ落ちてきてビショビショ(笑い)。髪の毛立てたけど、1曲目で寝ちゃったよ(笑い)。
ユカイ:BOOWYとストリート・スライダーズは商売にならないね(笑い)。普通の雨じゃなかったからね。
高橋:濡れて壊れないようにって、マイクはラップで巻いて、スピーカーにもブルーシートかけてさ。楽器はビチャビチャだし、スタンドは水が入って後でさび、布袋と松井のエフェクター類は全滅だったよ。よく音が出てたよな。よく死人が出なかったと思うよ。
ユカイ:いろいろな意味で出演者にとっても、観客にとっても一生忘れることのできないイベントだったよね。ところで、あのころっていいアルバム作っても、ライブが良くないとお客さんがソッポを向く時代だったじゃない。ライブでどこまで再現するかとか、どう考えてた?
高橋:なるべく「同期」は使わないってのはあったな。使うと毎回同じになっちゃうから。今みたいにイヤモニ(イヤモニター)もないし、テクノロジーも進化してなかったけど、ない方が“やってる感”満載で臨場感があるんだよ。テンポがズレようがいいじゃない、みたいなね。
ユカイ:まことさんは走る(テンポが速まる)ところも魅力だ(笑い)。同期使ってるとそういうライブ感は出せないね。今はイヤモニして、コンピューターからのクリック音に合わせてテンポを作るんだけど(=同期)、人間って盛り上がると速くなるじゃん。そういう時にドラムが引っ張るのに、そのノリが排除されるんだよね。
高橋:照明の動きも合わせてるから、クリック聞かないとダメとかな。
ユカイ:まことさんも俺も音楽始めたころからビートルズが大好きだけど、彼らって演奏うまかったよね。あのころ、モニタースピーカーすらなかったんだよ。演奏も自分の歌声もロクに聞こえない中であれだけできるなんて。
高橋:ほんと、死ぬほどうまいよ。ライブであれだけできたから売れたってのもあるだろうな。
ユカイ:コーラスも恐ろしくうまいよ。コピーバンドやったらわかる。ビートルズは楽にやってるように見えるけど、簡単にマネできない。一番難しいのがジョージ・ハリスン。
高橋:難しいところやってるんだよな。コピーする時、ギターはジョン・レノンかジョージか、どっち取るかによって難易度が違う。ジョージ取ったら大変なんだよ。リードギター弾きながら、クソ難しいコーラスやらなきゃだから。
ユカイ:ジョンもギターうまいしね。あと、ポール・マッカートニーと2人で歌う曲で、なぜか途中から上と下が入れ替わったりさ。
F記者:ドラムのリンゴ・スターはいかがですか?
高橋:リンゴのドラムってけっこう正確なんだよ。アレ?って時もあるけど。それにテクニックがすさまじいとかではなく、歌心があるというか、ハートにくるドラムなんだよな。「チケット・トゥ・ライド」(邦題「涙の乗車券」)のあの叩き方なんか、なかなか考えられないよ。
ユカイ:ビートルズがバンドマジックを教えてくれたよね。テープ逆回転を使ったり、シタール、メロトロン、シンセサイザーをいち早く取り入れたり。常に新しいものを取り込んで、シングル、アルバム、どれも同じことをやってない。聴いても聴いても新しいものを発見できるって、なんなんだろうね。
☆ダイアモンド・ユカイ=1962年3月12日生まれ。東京都出身。86年にレッド・ウォーリアーズでデビュー。89年に解散後、数度再結成。ソロとしてのカバーアルバム「Respect III」、著書「タネナシ。」「育爺。」が発売中。2015年に織田哲郎と結成したバンド「ROLL―B DINOSAUR」の2ndアルバム「SUE」が発売された。
☆たかはし・まこと=1954年1月6日生まれ。福島県出身。ドラマー。77年に元「安全バンド」の長沢ヒロとHERO結成。78年、デビュー作レコーディング後に脱退。81年にBOOWY加入。87年の解散後は「De+LAX」ほか数々のバンドに参加。2016年に“最後のバンド”「JET SET BOYS」結成。最新作は「BIRD EYE」。過去の著書に10年分の情報をプラスした文庫版「スネア」が発売中。












