〝女芸人マニア〟として知られているお笑いコンビ「馬鹿よ貴方は」の新道竜巳が、これから〝馬鹿売れ〟しそうな女芸人をピックアップ。芸歴2年目にして「女芸人No.1決定戦 THE W」(日本テレビ系)でファイナリストとなった、才能豊かな女性ピン芸人を紹介とは――。
驚異の才能を持つピン芸人が現れました。
芸名:茶々
所属:吉本興業
養成所:NSC東京25期生(2020年卒業)
生年月日:非公開
出身地:福岡県太宰府市
芸歴はまだ2年目なのに、今年の「THE W」では決勝に進出されました。今年はエントリー数が約700組と過去最高。そんなハイレベルな戦いのなか決勝進出した茶々さんですが、女芸人のネタを誰よりも見続けている僕ですら「誰だ?」と思ったほど、全く知りませんでした。
調べたところ、昨年の「THE W」は2回戦で敗退。わずか1年で驚異の飛躍と言えるでしょう。東京・新宿の「ルミネtheよしもと」で行われた準決勝を見ましたが、芸歴2年目とは信じられないぐらいの笑いを起こし、決勝に勝ち進みました。
驚いたのがネタの内容です。このネタは決勝でも披露されていましたが、電車の中で向かいの座席に親子がいるという設定で、子供がお母さんに「アメ食べたい」と言う声が音声で流れます。お母さんが「我慢しなさい」と言った後、向かいに座っている茶々さんがカバンからアメを取り出し、おいしそうに食べて自慢する、というネタでした。
その後も、子供がお母さんにねだったものを茶々さんはなぜかすべて持っていて、見せびらかしていきます。これは〝自慢芸〟とでも言ったらいいのか? 自慢げな表情に、底知れぬ人間の闇を感じました。目が据わっているところに独身女性の不安定さ、切なさ、マウントを取って嫌がらせをすることの満足感、性格の悪さ…。普段はあまり表に出てこない人間の闇を4分間で描いていて、すごく見応えがあります。
美人なのに性格に難があってモテない。そんな女性を表現する力がすごい。ネタ中のキャラクターへの憑依(ひょうい)の仕方にリアリティーがありました。
とにかく自分は負けてない、という思いが強いキャラクター。子供が何かにぶつかって痛がっていたら、自分も窓に頭をぶつけて「私の方が痛いぞ!」と張り合う。エスカレートの仕方が、どんどん恐怖を増幅させる。テレビではなく劇場でナマで見たら、そのおもしろさがもっと伝わりやすいかもしれません。
準決勝の会場では異常なほどの笑いを起こしていたので、ネタを見終わった直後に何のためらいもなく「決勝に行ったな」と思いました。
このネタは、電車の中で向かいに親子が座っている状況で、音声による親子の会話に茶々さんが演技で対抗する形ですが、すごいのはその演技の中に言葉が一つもないことです。動きも最小限のものだけで、表現の核となるのは、子供が欲しがるものをカバンから取り出した後に見せる表情。一見シュールでクオリティーの高いコントですが、実は顔芸なんです。
まだお笑いを始めてから間がないのに、顔芸で決勝に進んだという事実は、お笑い界の歴史でも過去になかったことではないでしょうか? ついに「ダチョウ倶楽部さんの後継者が現れた」といっても過言ではないと思います。
今年の「THE W」の決勝は、残念ながら紅しょうがさんに敗れてしまいましたが、ネタ自体は顔芸で尻上がりに盛り上がり、後半は拍手笑いを立て続けに取っていました。尻上がりに盛り上がっていく構成力は、ただものではないと感じさせるものでした。
ちなみに「THE W」の準決勝は2日間で行われ、出場者は2本ネタをやらなければならないのですが、もう1本のネタもすごくおもしろかった! 茶々さんはミュージカルの経験もあるそうで、その経歴を生かしたネタでしたが、機会があったらぜひ見てほしいです。今年の決勝では1本しかネタを披露できませんでしたが、これだけ評判になったのだから、もう1本のネタが見られる日もすぐに訪れるでしょう。












