新宿ゴールデン街の歴史を紐解きながら書き進んだ私の交友録。いよいよ最終回となってしまった。まだまだ書き足りない裏歴史がありますが、仲間内から殴られないうちに筆を置かないと明日の命の保証もないので、この辺で終わらせていただきます(笑い)。

 このコロナ禍の中、今年「クラクラ」も何か月休んでいたことか。政府の無策ぶりに振り回された1年ではありました。10月以降、平常営業に戻ってもお客さんの戻りはまだまだ本格的ではない。でも街に灯りが戻っただけでも嬉しい日々だが。

 考えてみれば2019年のラグビーW杯のあの喧騒の日々が夢のような悪夢のような…。ゴールデン街の路地に外国の観光客の方々が集まり、すし詰め状態に。しかも屈強な男どもばかり。溢れ返った人混み整理に機動隊が出動した夜も。シャッターが壊され、泥棒に入られたりと、あまりの荒れように組合が立ち上がり、夜警に回った日々もあった。いえいえ、全てひどい人達ばかりではありませんよ。心優しい友好関係築けた人達も大勢いたことも書いておかねば!

 今年の東京五輪はさすがに静かなゴールデン街だった。というより営業してませんでしたからね。

 この街には290軒余の店舗があり、組合は2つに分かれていて、それぞれの活動を進めている。戦後の混乱期に生まれた組合活動も様々な恩讐を乗り越え、今、街は新たな時代に入ってきた。昨年末にはこの街全体を「新宿ゴールデン街」と呼ぶことも申し合わせた。新宿区が進める「新宿ゴールデン街まちづくり協議会」の活動や、お互いの組合が主催する8月の「納涼感謝祭」、4月の「桜まつり」を通じ、親睦と交流を図っている。

 来たる12月5日には両組合有志が集まり「レモン祭」も開催とか。36店舗が参加して美味しいレモンサワーを飲ませるイベントだ。是非皆さんも遊びに来て下さいな。

 そして新宿区からの助成を受け、組合活動として「エコバッグプレゼントキャンペーン」も12月15日より始めます。最近、吉住健一区長も「クラクラ」の常連となり、ボトルをキープしている。区の文化行政や街の在り方など意見交換しながら酒を飲んでいる。やはり「酒から始まる語らい」は貴重ですからね。ゴールデン街は今や新宿区の貴重な観光スポットだ!

 この酒場で知り合い結婚したカップル。このカウンターでデートしていた恋人達、逆に喧嘩して別れた者達…。70年越しに人の出会いも別れも、人生を変わることなく見つめてきたカウンター。このとまり木に座り酒を傾ける幸せ。

 芝居人生55年。酒場経営42年。この街が私を育ててくれ、仲間を作ってくれ、楽しい人生だった。もうひと踏ん張り、恩返しをしなければ…と思いつつ、あの言葉を贈ります「酒を捨てたら“夢”も死ぬ」…長のご愛読有り難うございました。(おわり)