強化方針を巡って内紛の続く全日本テコンドー協会は28日、都内で臨時理事会を開催。理事の総辞職が正式に決まり、トップに君臨する金原昇会長(65)も近日中に辞表を提出する。ただし再選出の可能性もあり、一部では「出来レース」との声も上がる。本紙は大勢のマスコミに追いかけられて自宅のある長野・松本市への帰路に就いたドンを独占直撃! 金原会長は再登板問題から女性理事への卑劣な発言の真意、自身と同じく渦中にいるあの芸人への胸中を激白。さらには会長職を超大物タレントに譲りたいというから驚きだ。

 ――東スポです。少しお話いいですか

 金原会長:あー、先日の紙面(カツラ疑惑)は読ませていただきましたよ。ずいぶん私をネタにしてくれましたね。

 ――世間が一番気になっていた部分ですので

 金原:いえ、しっかり受け止めているので大丈夫です。それに私とあなたの会話を忠実に載せてくれた。誤解なく報じてくれたのは良かった。

 ――ズバリ再び会長になりたい気持ちは

 金原:私のことは検証委員会にお任せしたので、今の私の希望はゼロです。意味わかりますか? 解釈を間違えるとペンも曲がってしまう。

 ――希望ゼロか

 金原:いや、希望がゼロというか、続投する意思の「ある・なし」など委員会にお任せした以上は私個人が希望を言うべきじゃない。そこは勘違いしないでもらいたい。

 ――検証委員会の委員長を境田正樹氏(55=弁護士。東京大学理事。スポーツ団体のガバナンス強化や改革に尽力し、バスケットボールのBリーグ創設にも携わった)に依頼したのは会長ですね

 金原:はい、その通りです。

 ――「出来レース」と臆測する者もいる

 金原:境田先生が出来レースをやるような方ですか? 逆にそれを検証してくださいよ。よく独断とか言われますが、我々にはコンプライアンス委員会もあり、ちゃんとした外部の方がいる。ガバナンスを十分にやってきた気持ちがあるんですよ。それなのに頭から否定する。じゃあ、どなたに依頼すればいいのか。

 ――自分に対する世論をどう思うか

 金原:イメージ悪いでしょ。でも顔だけ見て判断されても困る。それは差別だよね(笑い)。今日だってあんなにカメラが待ち構えて。そこまでのことをやったか? 誰かに馬乗りになって暴力を振るったならともかく。それと(前理事の)高橋(美穂)さんには恨みはないですが、彼女はテレビで僕の批判を散々してきた。あれでテコンドーのイメージが落ちた。結果的に選手に不利益を与えている。スポンサーも降りた。どうしてそこまで考えなかったのか。

 ――しかし「俺も倒れようかな」(前回の理事会に出席した高橋氏は部屋を出た通路で過呼吸のため倒れ、救急搬送された。その際、部屋に残っていた金原会長が「俺も倒れようかな」と言い、周囲から笑い声が。これが録音で拾われ、テレビで暴露されて猛批判を浴びた)みたいな発言が世間の反感を買うのでは

 金原:高橋さんは部屋を出て行くまで普通だったので、廊下で倒れた姿を見ていなかった。部屋にいた方は危機感が全然なかった。そして私もあの日はすごく疲れていた。ただあの言葉は本当に不適切でした。あの後、彼女に電話しましたが出なかったので、すぐにメールで謝罪しました。

 ――妙な人気が出ているのも事実です

 金原:ビートたけしさん(72=本紙客員編集長)は以前から私をネタにしている。ネタにするくらいなら、全日本テコンドー協会の会長をやっていただけませんかね。そう書いてくださいよ。たけしさんが会長になったら、テコンドーは盛り上がる。いくらでもサポートしますよ。カバン持ちでも何でもやります。

 ――本気ですか

 金原:はい、もちろん。ネタにするなら、それくらいの覚悟が欲しい。あれだけ影響力がある方なのだから。彼なら本当に引き受けてくれるかもしれない。

 ――同じようにバッシングされている徳井(1億円を超える申告漏れや所得隠しが発覚したお笑いコンビ「チュートリアル」の徳井義実。所属する吉本興業は活動自粛を発表し、世間からバッシングの集中砲火を浴びている)をどう思うか

 金原:彼は無申告でしょ。認識が甘いですよね。だからといって一から十まで叩くことは好きではない。逆に言うと彼は今後、絶対に無申告はしない。いいことじゃないですか。応援しましょうよ、徳井さんを。

【騒動の経緯】現在の強化体制に不信感を抱く一部選手が、6月に理事会へ「意見書」を提出。同月末までの回答を求めたが、期限までに得られず大半の選手が合宿をボイコットする事態に発展した。今月1日の協議会は途中退席者が出て大紛糾し、8日の理事会も6時間を超える大激論。強化委員会トップ3の退任が決定したが、理事総辞職案の採決は行われず物別れに終わっていた。

 迎えた28日、臨時理事会で全理事の総辞職がついに決定。今後は外部有識者による検証委員会が設置され、運営体制の検証および次期理事候補者の選定がなされる。同委員会のメンバーとなったのは弁護士の境田氏、日本オリンピック委員会常務理事の友添秀則氏(63)、日本フェンシング協会理事の井口加奈子氏、柔道元世界女王の山口香氏(54)の外部有識者4人。約1か月かけて理事や選手をヒアリングし、新理事候補を絞り込んでいく。すでにこの日、金原会長ら複数の理事がヒアリングを受けた。

 金原会長が再び会長に選ばれる可能性も残されているが、境田氏は「中立公正に提案したい。会長の再任ありきではない」と語った。