一度噛みついたら離さないという大型犬にちなみ、故ダイアナ妃が憎しみを込めて〝ロットワイラー〟と呼んでいたカミラ夫人(75)が、チャールズ皇太子(73)の国王即位に伴い、王妃となった。ロイター通信は、「25年前、ほとんどの英国国民が想像もしなかったこと」だと振り返った。

 ダイアナ妃は25年前の1997年、パリでの自動車事故により36歳の若さで亡くなった。当時、メディアはカミラ王妃を「英国で最も嫌われた女性」と名指しし、「チャールズ皇太子と結婚することはあり得ない。ましてや、将来女王になるなど」と報じていた。

 チャールズ国王とダイアナ妃は92年に別居し、96年に離婚が成立。ダイアナ妃は破局がカミラ王妃のせいだと非難した。その後も「冷静だが野暮ったいカミラ」と表現され、常に世界中で愛された美貌の前妻と比較され続けた。

 93年には盗聴された2人の通話が報じられ、その内容が火に油を注いだ。会話の中でカミラ王妃はチャールズ国王に、「あなたのためなら、どんな苦労もいとわない。それが愛だから。それが愛の力だから」と告げていた。

 そんな世間の逆風をよそに2人は2005年、互いにとっての再婚を果たした。ロイターによると、それ以降、カミラ王妃は夫を支え、王室の重要メンバーとして徐々に認識されるようになっていったという。

 カミラ王妃の積極的な公務への取り組みを評価したエリザベス女王は今年2月、女王亡き後、「カミラは王妃となる」と宣言。「私を支えてきてくれたように、彼らに対しても同様の支持をしてくれるものと理解している」と述べ、次世代の王室を担う国王夫妻への支持を国民に訴えていた。