映画監督の清水ハン栄治氏(50)が18日、都内で行われた映画「トゥルーノース」(6月4日から)外国特派員協会試写会に出席した。

 同映画は、北朝鮮の強制収容所で生き抜く家族を描いた物語。実写映画ではなくアニメーションによってリアルに表現されている。

 監督・脚本を行った清水氏は「公開処刑のシーンなどがあるため、実写にするとホラー映画のようになると考えた。見る人を怖がらせるのではなく、人々の心を揺さぶるような作品にしたかった」と説明した。

 また、劇中には日本の拉致被害者が強制収容所で働かされている場面もあった。これに対し、どのようにして証言が得られたのかと聞かれた清水氏は「これまでに私たちが証言を受けた収容所経験者の方々は、社会的バックグラウンドが強くない人たち。だが、その収容所の中には、平壌で金正恩に支えるような立場の者たちだけを囲い込んでいるエリアがある。その人たちは、一定期間厳しいつらい思いをさせて、それでも忠誠心を捨てていなければ平壌に引き上げて仕事をさせる予定がある人たち。その平壌の幹部たちが囲われている村の中に日本人の女性がいた」と言う。

 その上で「その人は日本から連れてこられて、日本語教育をしろという命令を受けたが拒絶した。その結果、収容所の施設の中に連れてこられたと言っていた。だが、こうした話は非常に機微なところであり、人の命に関わることもあるので」とそれ以上の詳細は伏せた。