東京五輪・パラリンピック組織委員会の会長人事が混沌としてきたが、この騒動で小池百合子東京都知事の存在感だけが増している。

 12日、定例記者会見で小池氏は森氏について「東京2020大会の実現に長年にわたってご尽力してきたことには敬意を表したい」とまずはねぎらった。その上で「大会を契機にしてジェンダー平等の実現をして、よりよい未来につなげるのが重要。なにより人権尊重の理念が社会に根付いてこそレガシーになるのではないでしょうか」と森発言から学ぶべしとした。

 ここからが小池流の真骨頂だった。森氏の女性蔑視発言の話題から東京都の各種審議会における女性委員の話に展開。小池氏が都知事になってから女性委員の任用率が増えたと明かし、「国際社会では企画立案に女性の参画は当然のこと。日本は女性の力を生かし切れていない。以前からもったいないと申し上げてきた」と力を込め、自分のアピールにつなげたわけだ。

 小池氏はゴキゲンらしい。永田町関係者は「小池氏と森氏の因縁関係は長い。大きな衝突は2008年の総裁選でしょう。森氏の意向に逆らって小池氏が出馬しました。小池氏だけでなく、この時、小池陣営に回った議員たちもその後、森氏に疎まれて大変な思いをしていました」と振り返った。

 だからこそ、「森氏が会長辞任となって小池氏はうれしくてたまらないんじゃないか」(別の永田町関係者)とささやかれているのだ。

 会見の最後には辞退が続出した大会ボランティアについて、「また戻ってきてくださることを心から期待しております」とニッコリして呼びかけた。小池氏だけが笑っている。