木村花さん中傷男書類送検 “苦しい責任逃れ”フジテレビにBPO「厳しい判断」も

2020年12月17日 11時00分

亡くなった木村花さん

 フジテレビのリアリティー番組「テラスハウス」に出演し、視聴者から誹謗中傷を受けた女子プロレスラーの木村花さん(享年22)が亡くなった問題で、警視庁はツイッターで中傷する投稿を繰り返したとして、侮辱容疑で20代の男を近く書類送検する方針を固めた。フジテレビは“自分たちに責任はない”との姿勢を貫いているが、「男が書き込んだ時期を考えると、そんな言い訳はとても通用しない」との見方が浮上している。

 書類送検されるのは、大阪府箕面市に住む20代の男だという。警視庁は、誹謗中傷の書き込みを男以外のものも含め約200アカウント、約300件確認。この中から過激な内容を複数回書き込んでいた男について、特に悪質として刑事責任を問う必要があると判断した。警視庁は、状況から木村さんが自殺したとみている。

 男は警視庁の任意聴取に容疑を認め「番組で男性に暴力を振るっているシーンを見て、仕返ししたいと思った」と供述。6月、遺族に謝罪のメールを送ったという。

 捜査関係者によると、男は5月中旬ごろ、木村さんのツイッターの投稿に「生きてる価値あるのかね」「ねぇねぇ。いつ死ぬの?」などと匿名で複数回書き込み、木村さんを公の場で侮辱した疑いが持たれている。

「テラスハウス」は「台本のない日々」をウリに男女6人の共同生活を映す番組で、木村さんは2019年9月から参加した。特に問題となったのは、木村さんが“標的”になるキッカケとなった「コスチューム事件」だ。

 木村さんの試合用コスチュームを間違って洗濯し、縮ませてしまった男性に激怒したもので、この模様が放送されると、木村さんに非難が殺到したのだ。

 この模様は今年3月31日にネットフリックスで先行配信され、フジテレビの地上波で放送されたのは5月19日(18日深夜)だった。先行配信した段階で、木村さんはネットで大炎上してしまっていたにもかかわらず、フジは地上波で放送。しかも「テラスハウス」の公式ツイッターでは、放送5日前の同14日、3度にわたって「“コスチューム事件”その後」と、番組サイド自ら“事件”と記し、あおるような書き込みをしていたのだ。

 木村さんはフジの放送から4日後の23日、東京都内の自宅マンションで倒れているのが見つかり、死亡が確認された。遺書のようなメモ数枚が近くにあった。

 これに対しフジテレビは「出演者に対して言動、感情表現、人間関係等について指示、強要したことは確認されませんでした」と否定。「制作スタッフはSNSでの炎上を予見できず、炎上させる意図はなかった」などとする検証報告をホームページで公開した。

 だが、男が木村さんのツイッターに誹謗中傷する内容を書き込んだのは5月中旬。地上波で放送される直前だった。

「ちょうど番組の公式ツイッターに、コスチューム事件をあおるような書き込みがされたころでしょ? フジは『自分たちに責任はない』としているが、どう考えてもそんな言い訳は通用しないでしょ?」(他局の民放関係者)

 木村さんの母・響子さん(43)は7月、番組を制作したフジテレビに「花が暴力的な女性のように演出・編集され、過呼吸になっても撮影を止めてくれなかった。人格や人権が侵害された」と検証を求め、放送倫理・番組向上機構(BPO)に申し立てた。BPOの放送人権委員会は9月に審理入りを決めている。

「フジテレビがあおった時期に、誹謗中傷を書き込んだ男が書類送検されたとなると、BPOの判断にも影響するのでは」(同)

 男の書類送検により、BPOがフジに厳しい判断を下す可能性が高まったかもしれない。