精神科医が解説する“コロナ鬱”撃退法

2020年04月22日 17時00分

 新型コロナウイルスを収束させるため、外出自粛をしなくてはいけないのに…緊急事態宣言下、平日でも東京・吉祥寺は大混雑。週末には東京などから神奈川・湘南などに多くの人が車で出かけ大渋滞し、海も混雑で、21日に神奈川県の黒岩祐治知事が「湘南の海には来ないでください」と語ったほど。一方、コロナ禍で憂鬱(ゆううつ)な気分が続いたりするといった鬱病の症状を訴える人が増えているという。実は“しちゃいけない外出”と“鬱の症状”はリンクしているという。精神科医が分析した。

 なぜ、緊急事態宣言が発令されたにもかかわらず自粛をしない人が多いのか。東京・豊島区にあるライフサポートクリニックの山下悠毅院長はこう分析する。

「心理学的に分析すると彼らは『躁(そう)的防衛』の状態にあると言えます。『躁』とは『鬱』の反対語でハイテンションを指す意味なのですが、私たちは何か大きなストレスを感じると自身の鬱の自己治療として、無意識が“強がる”“居直る”“攻撃的になる”といった態度を取らせるのです」

 例えば、葬式のときに遺族が妙にハイテンションに振る舞うのを見かけることがあるかもしれないが、これもつらい体験から自身を守る躁的防衛の一つなのだという。

 山下氏は「躁的防衛を構成する感情は『軽蔑』『支配』『征服』の3つが代表的です。今回、国の自主規制に従わない方たちは、意識では様々な思いがあるのでしょうが、無意識では躁的防衛が働き、行政の指示に背くことで鬱を自己治療している側面もあると思います」と説明する。

 もちろん、躁的防衛の状態にあるのは、してはいけない外出をしている人たちだけではない。

「自粛しない方を『けしからん』と過度に非難する方も、そのような報道を繰り返すメディアの方も、そして、こうした意見を述べている私の中にも、ハイテンションになることで、鬱に対処している無意識が働いているのです」

 ただし、躁的防衛をしていれば“コロナ鬱”にならないかというと、そんなことはないようだ。

「躁的防衛とは要するに脳内を一時的な『お祭り騒ぎ』にすることで、不快な現実から目をそらしているにすぎないからです。やるべき時にやるべく策を講じておかなければ、『お祭り』の後に待ち構えているものは今以上に過酷な現実かもしれないのです。また、人は躁的防衛の状態が長らく続くと、ついにはエネルギー切れを起こして鬱病を発症したり、アルコールの量も増え依存症になりやすいことが統計的に分かっています」(同)

 では、こうしたストレスの中、私たちが取るべき治療法は何があるのか。脳内で神経伝達物質のセロトニンを増やす“運動”がとても大切となるのだという。

 そこで、この緊急事態宣言下、山下氏は4つのことを心掛けるべきだと提唱する。

(1)屋内でもできる運動をしよう。

「現在はユーチューブなどで、誰もが無料で様々なトレーニングをすることができます。家族やオンラインで友人などと一緒に、心拍数が上がるトレーニングをしてください。私は極真会館のベイノア選手の動画で筋トレをしています」

(2)天気のいい日は散歩に出かけよう。

「日光はセロトニンの分泌を高めるだけでなく、体内時計を調整するメラトニンの調整にも関わります。休日は、スニーカーに履き替えて積極的に遠出をしてみましょう」

(3)アルコールが好きな方はおいしいお酒をほどほどに。

「昨今はアルコール度数の高いお酒が人気なようですが、お酒が好きな方は“値段は高いがおいしい”を選ぶことで“量より質”を意識してください」

(4)眠れない日が続くときは専門の医療機関へ。

「人は強い不安がかかると誰でも不眠症になります。そして、不眠が続くと思考力が低下し、ますます事態は悪化してしまうのです。昨今では依存性のない安全な睡眠薬も発売されています。眠れないときは専門医のいる医療機関へ相談に行きましょう」

 してはいけない外出やネットで誰かを誹謗中傷することで一時的にスッキリするのではなく、運動や適度な飲酒で、緊急事態宣言をやり過ごそう。