大いに盛り上がった東京五輪も、閉会式が行われる8日をもって終了する。五輪といえば、心の叫びともいえる数々の名言が生まれる舞台でもあるが、今回はコロナ禍で自粛ムードとあって、バズるような言葉は少ない。流行語大賞にノミネートされそうな名言が出ていないなか、KYな面々による〝迷言〟〝妄言〟だけが、印象に残ってしまうことになりそうだ。
過去の五輪では、「すごく楽しい42キロでした」(高橋尚子=2000年シドニー五輪・マラソン)、「チョー気持ちいい」(北島康介=04年アテネ五輪・競泳)、「なんも言えねえ」(同=08年北京五輪・競泳)、「今まで生きてきた中で一番幸せ」(岩崎恭子=1992年バルセロナ五輪・競泳)、「(北島)康介さんを手ぶらで帰らせるわけにはいかない」(松田丈志=12年ロンドン五輪・競泳)など、アスリートの名言が話題になった。
今大会では連日、日本選手団の過去最多となるメダルラッシュで感動を呼んでいるが、メダリストたちはどこか控えめな感は否めない。コロナ禍で五輪の開催自体に反対が根強かったことや、大会中も心ない誹謗中傷がSNS上で寄せられているとあって、五輪が行われる環境に感謝する言葉が先立ち、喜びの感情を素直に爆発させられない事情もあるようだ。
名言が出にくい中、関係者や政治家の妄言・迷言のラッシュは止まらない。〝ぼったくり男爵〟と揶揄されるIOCのバッハ会長は、開会直前に五輪組織委員会の橋本聖子会長を表敬訪問した際、「万人にとっての安全で安心な大会だ。万人とはアスリートであり、各国選手団であり、チャイニーズピープルだ」と、日本人というべきところを中国人と言い間違え、大炎上した。
さらにバッハ氏は開会式のスピーチで、予定していた時間を大幅にオーバーするKYぶりを発揮。午後11時過ぎの大演説で、場内がウトウトしかけた中で天皇陛下への開会宣言につなげ、進行担当は起立を促すアナウンスを逸した。これにより菅義偉首相や小池百合子都知事が途中まで着席したままという〝不敬行為〟になる問題となった。
五輪開催に反対していた立憲民主党の議員らも炎上した。蓮舫代表代行は五輪中止派の筆頭だったが、スケートボード男子ストリートで堀米雄斗が金メダルを獲得するやツイッターで「堀米雄斗選手、素晴らしいです!ワクワクしました!」と投稿。
これには「手のひら返し」「五輪が中止になっていたらメダルは取れなかった」と大反発を招いた。蓮舫氏は「反対なら応援するな、ではありません」と選手への尊敬の念は表明したが、その後メダリストへの祝辞はなくなった。
また組織委員会の参与を務めるKADOKAWA代表取締役社長の夏野剛氏は、ABEMA TVの番組で「クソなピアノの発表会なんてどうでもいいでしょう。五輪に比べれば。それを一緒にするアホな国民感情に、今年選挙があるから乗らざるを得ない」となどと発言。炎上したため、ツイッターでの謝罪に追い込まれた。
極め付きは河村たかし名古屋市長だ。女子ソフトボールで優勝した後藤希友が4日にメダル報告で表敬訪問した際、金メダルをガブリとかんだのだ。その映像は多くの老人を卒倒させた〝噛み付き魔〟フレッド・ブラッシー以来の恐怖劇となり、お茶の間は凍り付いた。
河村氏が「最大限の愛情表現だった」と釈明したことも火に油を注ぎ、翌5日に改めて謝罪したが、市長辞任を求める声まで出ている。
開会式に携わった小山田圭吾や小林賢太郎氏らは、過去の言動が問題となり事実上の追放処分になったことで「呪われた五輪」とも言われた。名言よりも〝迷言〟〝妄言〟が目立った五輪は、今回の東京五輪が初めてだろう。












