中国にも衝撃…。フジテレビ系で長年にわたって放送されている国民的人気アニメ「サザエさん」(日曜午後6時30分)で、サザエの母・磯野フネ役の声で知られる声優の麻生美代子(本名・左近允美代=さこんじょう・みよ)さんが8月25日に老衰のため、東京都の自宅で死去していた。92歳だった。2015年までフネ役を務めた麻生さん。その声は日本人なら知らない者がいないほどだったが、放送されていない中国でも多くのファンがおり、悲しんでいるとみられる。

 麻生さんは、1969年に「サザエさん」の放送が始まってから実に46年間もフネの声を務めた。ほかにも「アルプスの少女ハイジ」の執事ロッテンマイヤー役など、多くのアニメ作品で声優を務めたほか、テレビ東京系のクイズバラエティー番組「和風総本家」(木曜午後9時)のナレーションを今年3月22日放送分まで10年間担当するなど、声優として幅広く活躍した。

「和風総本家」では、6日に放送する2時間枠の特番を急きょ編集し直し、麻生さんを追悼するVTRを放送する予定だ。

「サザエさん」といえば、日本人なら老若男女を問わず誰でも知っている“国民的アニメ”だが、お隣の中国では放送されていないのにもかかわらず、いまでは人気アニメになっているという。

「サザエさん」は中国では「海螺小姐」というタイトルで多くの人たちに知れ渡っている。

 中国人ジャーナリストの周来友氏は「確かに中国ではまったくテレビ放送されていないのですが、海賊版がネットで出回っていて人気なんです。サザエさんは主婦という設定ですが、共働きが多い中国にはあまりなじみがありません。非常に日本的なキャラクターですが、太陽のようにいつも笑いを提供してくれる平凡じゃない主婦としてとても人気です。そして『サザエさん症候群』という言葉も知られています。日本人はこのアニメを見たら、次の日から働かなければならないという憂鬱な気持ちになるんだ…と。こういった感情はやはり世界共通ですね」と語る。

 また、日本の国民的アニメといえば先日「ちびまる子ちゃん」の作者・さくらももこさんが亡くなったばかり。フジテレビ系で放送されるアニメの「ちびまる子ちゃん」は「サザエさん」の前の枠、日曜午後6時から放送されているのは周知の通り。

「ちびまる子ちゃん」の放送が始まった90年以降は、日曜日の夜といったら「ちびまる子ちゃん」と「サザエさん」を見て過ごす家庭が一般的だった。
 周氏は「『ちびまる子ちゃん』も中国では放送されておらず、海賊版がネットで出回って『小丸子』として多くのファンを獲得しています。作者のさくらさんの訃報は、中国大手メディアも速報しました。ちびまる子ちゃんもサザエさんと同様に、太陽のような存在で、老若男女が楽しめるということで人気です」と指摘する。

 ちなみに「サザエさん」や「ちびまる子ちゃん」など、アニメを中国人向けにした海賊版は、中国語の字幕が画面に勝手に挿入されて出回っているという。

「海賊版だからもちろん、中国語の吹き替えを付けるなんてできないからね。だから、日本で2015年までに放送された『サザエさん』のフネの声は、麻生さんの声がそのまま流れていた。中国人には麻生さんの声は知られていたということ」(事情通)

「サザエさん」や「ちびまる子ちゃん」のような一般的な家族を描いたアニメは、日本と同じように中国でも普遍的な人気があったようだ。多くのファンがさくらさんと麻生さんの死を悲しんでいるに違いない。

 麻生さんの葬儀・告別式は、すでに親族のみで営まれた。後日、お別れの会を開く予定だという。